マジすか学園3☆#11ー1☆ | AKB48G☆マジすか学園☆乃木坂46☆欅坂46☆櫻坂46☆日向坂46☆好きな 「かつブログ☆」

マジすか学園3☆#11ー1☆


ひとは、誰かを想って、生まれてくるらしいー

なんだか、懐かしい気がした。どこかで出逢っていたかのようにー。
それは、偶然じゃなく。
運命的なー。

まわりはわたしのことを奇異の目で見る奴らばかりだった。

ただ、ひとりを除いてー。


「とても…、“粋”な格好、していますね」


「あン?」

運命的な出逢い。


「歌舞伎ー語源は『傾く(かぶく)』の連用形を名詞化したもの…、頭を傾けたくなるような常識外れな振る舞いや行いをするものを『傾き者(かぶきもの)』と呼び…」

「うざ…」


それ以来、そいつはしつこくつきまとってきた。人懐っこく、解説好きなやつ。不思議と嫌じゃなかった。

いつしか、そいつは、わたしと同じ格好、同じメイクをするようになり、わたしのことを『姉貴』と呼ぶようになっていた。

そして、わたしたちは、『歌舞伎シスターズ』と名乗った。

初めて、わたしが喧嘩で負けた夜ー


メールが届いた。



『姉貴へ


“てっぺん”目指して、階段のぼっていきましょう!





一緒に』


思えば
それが、最初のメールだった。




【エリアE】

(いま…、その“階段”をのぼってる…、お前だって、そうだろう?)

右腕の痛みをものともせず、大歌舞伎はディーヴァ『最硬』の将軍ユウカに掌底を打ち込んでいた。
右腕は限界に近い。それでも、打ち込む。

気功を用い、身体を硬化させるには、ある程度の集中力を必要とする。焦るユウカは、集中が途切れ、完璧な硬化とまではいかないまでも、ダメージを半減させるには十分だった。

硬い。打ち返してくる拳も、硬い。

(厄介極まりないねぇ…)

それなら、と。

大歌舞伎が、力をためる。
筋力を最大限に引き出し、放つ掌底突きー“連獅子”を繰り出すために。

その
一瞬の隙。

黒い影が大歌舞伎の目の前を横切った。
赤く染まる視界。

鷹だ。

「ようやった!マサムネ!」


ユウカの硬い拳が、血に染まる無防備な大歌舞伎の顔面を襲う。

顔を押さえ、地面を転がる大歌舞伎。指の間から鮮血がもれる。

ユウカが転がる大歌舞伎の身体に足をのせー
動かないようにしたところで、さらに全身を蹴りつける。


「これが、うちらの絆や…、お前を置いて逃げ出すような奴とマサムネは違うんや!」


「げほっ!ざ、ざけんじゃねーよ!あいつだって闘ってる…、もしかしたら、もっと苦しい状況かもしれねー、それでもわかる!一緒に、“階段”のぼってるってことがな…、だったら、“階段”途中で立ち止まるわけにいかねーだろ!」

血染めの手で、ユウカの足の裏をつかみ、持ち上げ、投げとばす。
崩れそうに、でも、必死に立ち上がる大歌舞伎。
目にかかる血を袖で拭う。幸い、瞳ではなく、まぶたの上を切り裂かれただけだった。眼光は鋭い。

「負けねーよ…、負けられねーんだよ…、約束したんだ…」

「うるさいわ!…マサムネ!次は心臓や!今度は、外すな!」


そのとき
路地裏からバタバタと走りくる足音が聞こえてきた。

(この…、足音は…)

大歌舞伎が察知した気配。

路地裏から飛び出してきたのは、ディーヴァの隊員だった。先刻、小歌舞伎を追いかけていったひとりだ。

「残念やったな。あっちは片付いたようや」

ユウカが悠々と告げる。
しかし、小歌舞伎を倒し、戻ってきたにしては、どこか様子がおかしい。何かに怯えているような。

直後。

「うらああああああ!」
という叫び声が、ディーヴァ隊員の背中を襲った。
隊員に続くように、路地裏から飛び出してきた小歌舞伎のドロップキックと共に。


「あ、あれだけ、メッタうちされとったんに…、どんだけ、タフやねん…」

逃げ切れず、大通りに、突っ伏して呻く隊員。

「あえて、受けてやってたんですけどー。プロレスは受けの美学。まったく、手間かけさせないでよねー」

あえて、受けていたというのは本当かどうか、定かではないが。
素早く立ち上がり、倒れている隊員の背中に、小歌舞伎の全体重をのせたエルボードロップが決まった。意識を失う隊員。

「姉貴ぃ!」

自分の負ったケガはそっちのけで、
その傷は?と心配そうに駆け寄ってくる小歌舞伎に、

「受けの美学だよ」

と、うそぶく大歌舞伎。似た者同士。

「さすが、姉貴!」

「あの鷹から目をはなすな!あいつの相棒は、ちょいと厄介だよ」

「わかりました。鷹は、わたしに任せて下さい」
小歌舞伎は、背を大歌舞伎に向け、空を見上げる。全方位に注意をはらうように。


「どうしても、まとめてやられたいみたいやな。アホなやつらや。マサムネ!そいつらを食いちぎれ!」


「姉貴…、“階段”のぼりきりましょう!」


「ああ、一緒にな…」


小歌舞伎が、鷹の攻撃から、大歌舞伎を守るように大きく両手をひろげ、上空を見据える。
鷹は旋回を繰り返し、タイミングを計っていたかと思うと、一気に急降下し、低空飛行から、小歌舞伎の顔面を狙う。

のけぞる小歌舞伎の前髪が、ぶわっと広がった。
間一髪かわしたつもりが、かわせていなかった。嘴が、小歌舞伎の頬を裂く。

(なるほど…ね)

その様子は、背を向けている大歌舞伎には見えていなかったが、相対しているユウカは、

「マサムネは使えるで。そこらに倒れとるやつらよりよっぽど、ええ武器なんや」

「相棒を、道具扱いしてんじゃねーよ!」

大歌舞伎は、鷹を気にすることなく、ユウカに攻撃を仕掛け始めた。小歌舞伎を絶対的に信頼して。背中を預けた。


大歌舞伎の動きに合わせ、小歌舞伎は鷹に注意を向けつつ、背中を守り続ける。

爪や嘴が、小歌舞伎の身体を容赦なく切り刻む。
それは
十数回目の攻撃だった。
すでに、ボロボロになった小歌舞伎。隊員たちに殴りつけられたダメージもあいまって、足元もおぼつかない。
鷹にも、それが伝わっているようで、鷹の目が光った。
上空から一直線に小歌舞伎の心臓めがけ、飛ぶ。そして、心臓を貫く。

直前。

背中を見せる小歌舞伎。回転する身体。

小歌舞伎の敬愛するプロレスラーの得意技。

右のローリング袈裟斬りチョップが、マサムネの閉ざされた右目の死角である方向から首筋に、きまった。
短い悲鳴をあげ、地面に叩きつけられるマサムネ。

ユウカが忌々しげに、叫ぶ。

「くそっ!使えんやつや!」

手のひら返しとは、無粋だねぇ、まったくーと、ユウカを評し、振り返ることなく、小歌舞伎の勝利を悟る大歌舞伎。
こちらも負けていられない。
右腕と引き換えにしてもー。

「これで、幕引きだ…、思い切り、吹き飛びな!」

右腕に筋力を集中させる。殴りかかってくるユウカの右腕を左腕で、受け止め、大歌舞伎は、ユウカの顎めがけ、渾身の掌底突きを放った。

ユウカは、
(くっ!『最硬』の防御で、受け止め───)


「ぐはぁッ!」


浮き上がる。

衝撃で、脳が激しく揺れ、地面に倒れ落ちたとき、すでにユウカの意識はなかった。

大歌舞伎は、右腕を斜めに伸ばしたまま、口の端をつりあげるように、笑う。

会心の一撃。


「また、ひとつ、“階段”のぼらせてもらったよ」