マジすか学園3☆#10ー5☆
東京ー
古川アイリの散り際に、突破口のヒントを見いだしたマナツ。
オメガを見据える。
(彼女の戦闘空間での予測は…ほぼ、完璧…、それは、すべて計算されたもの…、コンピューターを用いた、カオス理論を含む複雑な演算でも、未来を予測することは難しいというのに…、あきらかに普通じゃない…、しかし…)
オメガの表情は、相変わらず、硬質な人形のように、血の気を感じさせない。本当に人間なのかと思わせるほどに。
戦闘機械さながら、オメガは、古川アイリの最後の攻撃も、データとして入力していた。初期値鋭敏性もなんら問題ないようだ。
こちらの攻撃は当たらないし、あちらの攻撃は面白いように当たる。
理不尽だ…とマナツは考える。
(ラプラスの、悪魔…)
と、そこへ、思わぬ訪問者があらわれた。
「アイミ!何やってんだ!?」
「ジュリナ…?」
前田を捜し、奔走していた松井ジュリナだった。
オメガと向田マナツの対峙している場面に、偶然出くわしたのだ。
ジュリナの登場により
オメガの表情が、人間のそれに一変していた。
ノイズ(noise)?
「松井…」
全身、血と汗と土にまみれ、虫の息のマナツ。傍らには、倒れ臥している古川アイリ。
「いったい、何があったんだ!?」
「か…彼女は…、矢場久根、死天王…、オメガ…、マジ女に加担する者たちを…排除しているそうです…、はっきり…言って…、強い、です…、認めたく…ないですが…」
「アイミ…、お前、矢場久根だったのか!?」
「転校してきたばかりだけどね。この制服、あんまり好きじゃないんだぁ。それより、ジュリナ…、捨てられた子犬みたいな目してるけど、また、好きなひとがいなくなったの?」
戦闘機械から、昨日、河原で出会った普通の少女に戻ったようなオメガ。ジュリナの触れられたくない部分を笑顔でえぐる。
「だまれ!」
「おお、怖(こわ)」と言わんばかりに
肩をすくめ、アイミは背を向けた。
「どこへ行く!?」
「帰る。だって、お仕事は終わったし。それに、マジ女は最後のお楽しみだもん」
「おい!待てよ!」
肩越しに、美しい一瞥を投げつけるオメガ。
「わたしと闘(や)るまで、誰にも負けないでね、ジュリナ」
直後
どさっと、マナツが、崩れ落ちた。
ジュリナは、オメガとマナツを交互に見かわした後、マナツの方に駆け寄る。
「くそっ!しっかりしろ!」
「…………」
マナツは、悔しさを滲ませながら、最後のちからを振り絞り、ジュリナに何かを告げた。
マジ女のために雄々しく闘った二人を見やる。
「また、負けられない理由が増えたな…」
そう言うと、ジュリナは、地面に力強く拳を打ちつけた。
「矢場久根…」