マジすか学園3☆#8ー10☆
アカリは攻勢に転じていた。
対して、受けにまわるミオリ。
「“型”が変わったな…」
あきらかに、闘い方の変わったアカリ。身のこなし、攻め方、闘気までもが別人のように変化していた。
アカリにとっては、どこか、前田と一緒に闘っているのにも似た気分だった。
数回、打ち合うと、防戦一方だったミオリの動きも、変化し始めた。
闘う相手のレベルにアジャストするかの如く。
再び、アカリの攻撃が当たらなくなり、ミオリの攻撃が当たり始める。
実力が違いすぎる。全く計り知れない。
(こいつ…、底なしか…)
闇を覗き込んでしまった恐怖を覚えるアカリ。
深い闇の底までは見えない。
アカリの足が止まる。悪魔に魅入られたかのようにー。
首が千切れ飛ばんばかりに、右へ、左へ、顔面だけを悪魔の拳によって打ちつけられる。
一発一発が、根こそぎ、意識を刈られるほど強烈な拳。
それでも、なんとか、意識を保とうとするアカリ。
「もういいよ!アカリ!死んじゃうよ!」
カナが、二人の間に飛び込むように、割って入った。
悪魔の拳が、カナを襲った。流れ弾に当たる。
「カナ!」
「大丈夫…、これくらい…、痛くないよ」
カナが、無理に笑う。
アカリは、それによって、少し、距離をとることが出来た。
(カナ…、ありがとう…、最後に、わたしにちからを貸して…、一撃だけでも…)
アカリが瞳を閉じ、祈る。
閉じた瞳を見開き、ミオリを射抜くように、見る。
そして、狙いを絞り、消えた。
アカリは
いままでで、一番の迅さ、
渾身のスピードで、ミオリの右下の死角に潜り込み、全身のバネを左拳に乗せ、思い切り突き上げた。
前田の得意技。
直後
にぶい衝撃音と、拳の砕ける音が、同時に辺りに響き渡った。続いてー
「ぐあああっ!」
アカリの苦しげな叫び。
砕けた左拳を右手でおさえ、呻く。
“龍神”を額で受け止めたミオリ。涼しい顔でー。
「アカリ!」
苦しむアカリに、無情にも、悪魔の拳が打ち下ろされた。目の前が一瞬で、真っ暗になる。
ゆっくりと、崩れゆくアカリ。
ミオリの身体をすべるようにー。
「カナ…、ごめん…」
(先に…、逝くよ…、でも…)
絶望の中に光をー。
(…こいつも、道連れだ!)
至近距離、いや、ゼロの距離からの、発勁。
崩れ落ちる寸前、右の掌から、全身の“気”を放出する業を放つ。気功。
アンダーガールズの木本カノンの得意技。カノン砲。
しかし、それすらも見切られ、
衝撃波は、ミオリの脇腹をすり抜け、背中へと、むなしく消えた。
不発。
その瞬間、ふいに、ミオリを襲う拳。
アカリの砕けた左拳が、ミオリの顔面に見事に決まっていた。完璧な伏線だった。
全身全霊をかけたアカリは、薄く微笑んで、地面に沈んだ。
それを、ただ、見下ろすミオリ。ダメージはなかった。悪魔を倒すちからは、もう、アカリには残ってはいなかった。
「勝ったような顔をしているな…」
清々しい表情のアカリを見て、ミオリがつぶやく。
そうだよ。と、カナが泣きながら言う。
「アカリは勝ったんだよ…、昔の自分に…、だって…、だって、アカリは…、最後の最後まで、あきらめなかったんだから!」
「くだらない…」
数分後ー
変わり果て
血まみれで倒れ臥す二人の少女の傍には、黄色いレモンがひとつだけ、転がっていた。
#8 『“未来へ”風は吹いている』 終
対して、受けにまわるミオリ。
「“型”が変わったな…」
あきらかに、闘い方の変わったアカリ。身のこなし、攻め方、闘気までもが別人のように変化していた。
アカリにとっては、どこか、前田と一緒に闘っているのにも似た気分だった。
数回、打ち合うと、防戦一方だったミオリの動きも、変化し始めた。
闘う相手のレベルにアジャストするかの如く。
再び、アカリの攻撃が当たらなくなり、ミオリの攻撃が当たり始める。
実力が違いすぎる。全く計り知れない。
(こいつ…、底なしか…)
闇を覗き込んでしまった恐怖を覚えるアカリ。
深い闇の底までは見えない。
アカリの足が止まる。悪魔に魅入られたかのようにー。
首が千切れ飛ばんばかりに、右へ、左へ、顔面だけを悪魔の拳によって打ちつけられる。
一発一発が、根こそぎ、意識を刈られるほど強烈な拳。
それでも、なんとか、意識を保とうとするアカリ。
「もういいよ!アカリ!死んじゃうよ!」
カナが、二人の間に飛び込むように、割って入った。
悪魔の拳が、カナを襲った。流れ弾に当たる。
「カナ!」
「大丈夫…、これくらい…、痛くないよ」
カナが、無理に笑う。
アカリは、それによって、少し、距離をとることが出来た。
(カナ…、ありがとう…、最後に、わたしにちからを貸して…、一撃だけでも…)
アカリが瞳を閉じ、祈る。
閉じた瞳を見開き、ミオリを射抜くように、見る。
そして、狙いを絞り、消えた。
アカリは
いままでで、一番の迅さ、
渾身のスピードで、ミオリの右下の死角に潜り込み、全身のバネを左拳に乗せ、思い切り突き上げた。
前田の得意技。
直後
にぶい衝撃音と、拳の砕ける音が、同時に辺りに響き渡った。続いてー
「ぐあああっ!」
アカリの苦しげな叫び。
砕けた左拳を右手でおさえ、呻く。
“龍神”を額で受け止めたミオリ。涼しい顔でー。
「アカリ!」
苦しむアカリに、無情にも、悪魔の拳が打ち下ろされた。目の前が一瞬で、真っ暗になる。
ゆっくりと、崩れゆくアカリ。
ミオリの身体をすべるようにー。
「カナ…、ごめん…」
(先に…、逝くよ…、でも…)
絶望の中に光をー。
(…こいつも、道連れだ!)
至近距離、いや、ゼロの距離からの、発勁。
崩れ落ちる寸前、右の掌から、全身の“気”を放出する業を放つ。気功。
アンダーガールズの木本カノンの得意技。カノン砲。
しかし、それすらも見切られ、
衝撃波は、ミオリの脇腹をすり抜け、背中へと、むなしく消えた。
不発。
その瞬間、ふいに、ミオリを襲う拳。
アカリの砕けた左拳が、ミオリの顔面に見事に決まっていた。完璧な伏線だった。
全身全霊をかけたアカリは、薄く微笑んで、地面に沈んだ。
それを、ただ、見下ろすミオリ。ダメージはなかった。悪魔を倒すちからは、もう、アカリには残ってはいなかった。
「勝ったような顔をしているな…」
清々しい表情のアカリを見て、ミオリがつぶやく。
そうだよ。と、カナが泣きながら言う。
「アカリは勝ったんだよ…、昔の自分に…、だって…、だって、アカリは…、最後の最後まで、あきらめなかったんだから!」
「くだらない…」
数分後ー
変わり果て
血まみれで倒れ臥す二人の少女の傍には、黄色いレモンがひとつだけ、転がっていた。
#8 『“未来へ”風は吹いている』 終