マジすか学園3☆#8ー5☆
その夜ー
外灯の明かりが不気味に点滅する公園で、
ひとりの“少女”が、五人の少女に囲まれていた。
異様な光景だった。
ひとりの“少女”に対し、五人の少女たちは、五人がかりで攻めているにも関わらず、その“少女”に、指一本触れることさえ出来ずにいた。ときには、すり抜けるような感覚を味わうほどにー。
五人の少女たちは、まるで、亡霊でも相手にしているかのような感覚にとらわれる。
ひるがえる
紺色のブレザーに白いシャツ。その“少女”の制服は、有名なヤンキー校である八木女子高のものだった。
髪色は茶色がかって、右で束ねるように纏められていた。
異様なものは、もうひとつあった。
顔には、白い包帯が巻きつけられていて、表情はわからない。ギラつく瞳だけが、月の光を反射し、煌めいていた。
“少女”の右の拳が、四人目の少女を吹き飛ばす。ジャングルジムに激突し、呻き声をもらしつつ、すでに三人が眠る地面に滑り落ちた。
最後のひとりは、腰がひけ、いまにも逃げ出したい気持ちでいっぱいだったが、足が思うように動かない。威勢のいい声を発し、恐怖心を拭いさろうとする。
「な、なんなんだよ?八木女のやつが、ガンギレに恨みでもあんのかよ!」
ガンギレ高校。八木女に負けず劣らずのヤンキー校。
「あぁ、恨んでるさ…死んでも死にきれないほどにな…」
「お…お前…、いったい…誰なんだ…?」
「忘れたのか?…、いや、忘れるはずがないだろう…」
続く“少女”の言葉に、五人目の少女は、愕然とするしかなかった。本当に、恐ろしいものを見るかのような表情で、“少女”が近づいてくるのを、ただ、見ていることしか出来なかった。
一時間後
警察車両のサイレンが事件現場である公園を囲んでいる。
暴行事件の現場。ガンギレ高校の生徒が五人、倒れている。酷い有り様だった。
制服警官が、現場を保全しているなか、ずかずかと規制線をくぐり抜けるパープルの鼈甲メガネの女刑事。その部下があわてるように、続く。
「主任!マズいんじゃないですか?」
「本庁の刑事(デカ)が所轄の事件(やま)に首を突っ込んでいいんですか?って話なら、もう聞き飽きた」
主任と呼ばれる女刑事は、部下の言葉を歯牙にもかけない。
「未成年の暴行事件だからって言うんで、飛んできたが…、Dの文字がないな…、模倣犯か…?」
救急車両によって、運ばれていく被害者たち。
しばらく、思案顔で、現場をうろつく女刑事。
「鑑識を待つまでもないな…、これは、いままでのやつらの手口とは違う。お前の言うとおり、ここは、所轄の皆さんにお任せして、わたしは、首をひっこめるよ」
「そうしてください。あんまり、暴走し過ぎると、また、上からドヤされますよ」
「そんなこと気にしてられっかよ!世の中にはな、越えちゃいけねぇ“一線”ってのがあるんだよ…」
「あの事件ですか…」
数ヶ月前に起きた
八木女子高生の過失致死事件。
女刑事の眼鏡の奥の瞳が曇る。
「もう、絶対に、あんな哀しい事件が、起きないように…」
所轄の捜査員が上司に報告を始めた。
「病院に運ばれた被害者たちの供述によりますと、たったひとりの少女にやられたということだそうです。名前もわかりました。その少女の名前は…」
傍に近づき
聞き耳をたてる女刑事に、信じられない言葉が飛び込んできた。
「…、八木女子高の…
“高橋みなみ”という生徒らしいです」
外灯の明かりが不気味に点滅する公園で、
ひとりの“少女”が、五人の少女に囲まれていた。
異様な光景だった。
ひとりの“少女”に対し、五人の少女たちは、五人がかりで攻めているにも関わらず、その“少女”に、指一本触れることさえ出来ずにいた。ときには、すり抜けるような感覚を味わうほどにー。
五人の少女たちは、まるで、亡霊でも相手にしているかのような感覚にとらわれる。
ひるがえる
紺色のブレザーに白いシャツ。その“少女”の制服は、有名なヤンキー校である八木女子高のものだった。
髪色は茶色がかって、右で束ねるように纏められていた。
異様なものは、もうひとつあった。
顔には、白い包帯が巻きつけられていて、表情はわからない。ギラつく瞳だけが、月の光を反射し、煌めいていた。
“少女”の右の拳が、四人目の少女を吹き飛ばす。ジャングルジムに激突し、呻き声をもらしつつ、すでに三人が眠る地面に滑り落ちた。
最後のひとりは、腰がひけ、いまにも逃げ出したい気持ちでいっぱいだったが、足が思うように動かない。威勢のいい声を発し、恐怖心を拭いさろうとする。
「な、なんなんだよ?八木女のやつが、ガンギレに恨みでもあんのかよ!」
ガンギレ高校。八木女に負けず劣らずのヤンキー校。
「あぁ、恨んでるさ…死んでも死にきれないほどにな…」
「お…お前…、いったい…誰なんだ…?」
「忘れたのか?…、いや、忘れるはずがないだろう…」
続く“少女”の言葉に、五人目の少女は、愕然とするしかなかった。本当に、恐ろしいものを見るかのような表情で、“少女”が近づいてくるのを、ただ、見ていることしか出来なかった。
一時間後
警察車両のサイレンが事件現場である公園を囲んでいる。
暴行事件の現場。ガンギレ高校の生徒が五人、倒れている。酷い有り様だった。
制服警官が、現場を保全しているなか、ずかずかと規制線をくぐり抜けるパープルの鼈甲メガネの女刑事。その部下があわてるように、続く。
「主任!マズいんじゃないですか?」
「本庁の刑事(デカ)が所轄の事件(やま)に首を突っ込んでいいんですか?って話なら、もう聞き飽きた」
主任と呼ばれる女刑事は、部下の言葉を歯牙にもかけない。
「未成年の暴行事件だからって言うんで、飛んできたが…、Dの文字がないな…、模倣犯か…?」
救急車両によって、運ばれていく被害者たち。
しばらく、思案顔で、現場をうろつく女刑事。
「鑑識を待つまでもないな…、これは、いままでのやつらの手口とは違う。お前の言うとおり、ここは、所轄の皆さんにお任せして、わたしは、首をひっこめるよ」
「そうしてください。あんまり、暴走し過ぎると、また、上からドヤされますよ」
「そんなこと気にしてられっかよ!世の中にはな、越えちゃいけねぇ“一線”ってのがあるんだよ…」
「あの事件ですか…」
数ヶ月前に起きた
八木女子高生の過失致死事件。
女刑事の眼鏡の奥の瞳が曇る。
「もう、絶対に、あんな哀しい事件が、起きないように…」
所轄の捜査員が上司に報告を始めた。
「病院に運ばれた被害者たちの供述によりますと、たったひとりの少女にやられたということだそうです。名前もわかりました。その少女の名前は…」
傍に近づき
聞き耳をたてる女刑事に、信じられない言葉が飛び込んできた。
「…、八木女子高の…
“高橋みなみ”という生徒らしいです」