マジすか学園3☆#7ー6☆
大矢マサナは、微塵も平静さを崩さない。
「私は、前田という少女をよく知っています。どんな状況に陥っても、決して諦めることはない。倒れても倒れても、また立ち上がる。彼女に限界などないのです。ほら、また…」
自らの信念のためなら、何度でも立ち上がる。
唯一無二の存在。
“てっぺん”
傷つき、倒れ伏しながら、立ち上がろうとする前田。諦めの色はない。
「そろそろ、終(しま)いにしよか…」
柔らかい口調と凍りつくような瞳がアンバランスなリホ。優美な動きで、返り血に染まる扇子を頭上に掲げー
「ほな…」
振り下ろす。
「ぐあっ!」
血が勢いよく噴き出す。
とっさに、前田とリホの間に
割って入ったキョウトの背中からー。
「キョウト!?」
「前田…、流れに逆らったら…あかん…、波に…乗るんや…」
満身創痍にも関わらず、起き上がるということは、並大抵の苦痛ではなかっただろう。それでも、何かを残したかった。犬死にだけはゴメンだった。それがマジ女魂。
前田なら、“てっぺん”なら、なんとかしてくれる。
キョウトは、微笑みながら、ばったりと意識を失った。
「昨日の生徒会長やタコ焼き娘といい、往生際がわるいなぁ…、弱いもんに用はないんや、このボロ雑巾、早よ、病院連れてき」
リホは、汚い雑巾を触るように、キョウトをつまみ、投げ捨てようとした。
「さわるな!」
前田が、奪い取るように、キョウトを抱き寄せ、ゆっくりと、寝かせる。
「すぐに終わらせるから」
立ち上がり、リホを鋭く睨みつける前田。
「終わるのは、お前や!」
扇子が舞う。
前田が、全身のちからを抜き、風の流れに身を任せる。
かわす。
「なっ!?」
リホは、扇子を振り回すが、かすりさえしない。
「お前の“耳”では、もう、わたしの動きは見切れない」
前田はようやく気づいた。
リホの聴覚が異常に発達しているということをー。
衣擦れの音、地面を踏みしめる音、空気の動く音が、風の声となり、相手の動きをいち早く読むことが出来ていたのだ。
「風の響き(声)が聴こえんようになった…」
風に同化する前田。
反撃に転ずる。怒りの拳。
「ぐは!ごほ!」
リホは、前田の攻撃を避けることが出来なくなっていった。
形勢は逆転した。
早期決着を望む前田。
躊躇うことなく、左手のリストバンドを右手でつかみ、祈る。
決着の一撃。
「最後に聴け!龍の咆哮(こえ)を!」
一方
傷だらけの
ヲタとバンジーも、なんとか、ディーヴァの猛攻を斥けていた。
とくに重傷を負っているヲタに
バンジーが心配そうに言う。
「ヲタ!無理すんなよ!ちょっと、休んでろ!」
「バーカ!みんな必死になって闘ってんのに、休んでられっかよ!もう少しだ!頑張るぞ!」
ヲタの拳は、まだ活きていた。強い。
遠くで闘う前田を見る。
「おれは、前田の闘う背中を見てたら、気合いが湧いてくるんだ!さすが“てっぺん”だよな」
軽く笑う。
顔の傷が痛々しい。
その姿を見て、バンジーは思う。
(おれたちだって、そうなんだぜ…お前のその小さな背中が、いつも、おれたちをどれほど、やる気にさせてるか。どれほど、勇気づけられていることか…、やっぱり、お前は、根っからのリーダーなんだな…)
バンジーがヲタの背中を押して、言う。
「よし!行こうぜ!リーダー!」
(もっと、“高み”へ…)