マジすか学園3☆#6ー9☆
一陣の風が吹いた。
次々、悲鳴をあげ倒れていくディーヴァのメンバーたち。風切り音だけが、辺りに鳴り響いていた。
その光景を見て
倒れ込んでいるマジ女の生徒たちが、口々に囁きあう。
「なあ…、おれ、夢でも見てんのかな…?」
「おれもだ…」
「お前たちもか…?」
「おれたちみんな…、死んじまったってことかな…」
「幻覚がみえる…」
「ちょっと、殴ってみてくれ」
「いてっ!おい!違うぞ!夢じゃねー!」
「間違いねー!あいつは…」
「前田ー!!!!!」
次から次と、一撃のもとに、ディーヴァの猛者たちを片づけていくのは、
誰あろうー
マジ女の“てっぺん”
前田敦子であった。間違いなく。拳を振るうごとに、空気を切り裂く音が聞こえる。
「前田!?」「前田!」「前田さん?」「前田ー!」「前田さん!」
いまだ
白昼夢を見ているかのようなマジ女の生徒たち。
「いつまで、休んでいるつもりだ!立て!マジ女の校章つけてるなら、立って、闘え!」
「前田が、しゃべったー!」「本物だー!」「やったー!」「生きてた!」「生きてたんだー!」
息を吹き返すマジ女の生徒たち。先程までとは、気合いの入り方が段違いに変わった。皆、根性で立ち上がる。泣いているものもいる。泣きながら、ディーヴァに立ち向かっていく。
地に臥していたヲタが顔をあげ、前田の闘う姿を目で追う。
いつの間にか、ヲタの頬を伝う涙。心が一気に溢れ出す。
「前田…、やっぱり、生きてたんだな…」
漲るちから。湧き上がる闘志。
さらに、校門から心強い援軍がー
「あつ姐ー!大丈夫でっかー!」
ダンプカーのごとく、ディーヴァのメンバーを弾き飛ばして進むだるま。以前に比べ、パワーが格段に増している。
「お前ら!待たせたな!」
学ランの鋭い回し蹴り。一発で倒れるディーヴァたち。ジャンプ力もキレもアップしていた。
かっこよく、ポーズをきめる。
そして、この二人もー
「姉貴ー、やっちゃいます?」
「やっちゃう?やってほしい?」
「やっちゃいましょう!」
「やっちゃうしかないね!」
歌舞伎シスターズの二人。
大歌舞伎の掌底が、向かってくる敵を、文字通り、吹き飛ばす。以前に比べ、破壊力が倍化していた。
小歌舞伎は、目の前の敵に、プロレス技をどんどん繰り出す。腕を伸ばし、相手の首にラリアット。関節技のコブラツイストにボストンクラブ。
進化した歌舞伎シスターズ。
四人が四人とも、明らかにレベルアップしていた。オーラが違う。修行の成果。奥底には、まだ、何かを秘めているようにもみえた。
希望の追い風。
前田が、旋風のように、触れるものすべてを打ち倒しながら、だるま、学ラン、歌舞伎シスターズと視線を交わし、うなずきあう。
そして、全員に向け、激しく叫ぶ。
「お前らのヤンキー魂見せてみろ!
マジ女!気合いいれてくぜー!」
「おー!」
マジ女の生徒全員が、一斉に、それに応えた。