医者をやってていやなこと1
医者をやっててよかったと思うことはたくさんありますが、反対にこんなはずじゃあ、と思うことも同じくらいあります。喜びと憂鬱がこれだけ大きく振れている職業もないから、刺激があって面白いのかもしれません。
いやなことだけ今日は書くとして、
最近は、手術のインフォームドコンセントをして同意書を頂くときから、すでに「じゃあ、合併症起こしたら、先生訴えてもいいですかね?」と平気で言う人もいます。昔なら、「まかせとけ」ですんだことも、長々と説明し、あげくのはてに出てくる言葉がそれだったりします。正直疲れます。モンスターペイシャントというのも増えてるのも事実だと思います。最近は「手術前にそんなに信用していただけないなら、どうぞよその病院へ行ってください。こちらでのオペは中止させていただきます。」と言って席を立つようにしています。でなきゃ、まともな業務が忙しくてやってらんない。勤務医は説明に1時間も、2時間もかかるようになってしまった。これが、外科勤務医が忙しいひとつの理由です。
手術で合併症起こして、逮捕。なんてことがあって、外科医みんな全国いっせいに手術の術式を少し考え直したんじゃないかと思う。少なくともあえて、リスクをおかして、進行癌を無理矢理切除したりはしなくなったんでは?同じ手術でも、膜の一層むこうで剥離して癌をとりきるというのが醍醐味でもあるとおもうけど、それが出血や合併症と背中あわせだから、少し手控えたんじゃないかなあ。それで、予後がおおきく変わると思えないのも事実だが、患者にとったら、とれたかとれなかったかの気持ちの違いは大きいしね。
逮捕の事件が無罪になって、ようやくまた大きな手術もむきあって考えられるようになったような気がします。術中まわりの外科医から「それ以上やったら逮捕されるよ」の言葉であきらめたことも何度もあったし、アグレッシブな外科医は逮捕されてしまう時代になったのか。
患者のために一番自分の技を磨いていたはずなのに、その技、腕をまもるために、また今日も患者に長話をしている・・・。
誰も患者に不利益になるようなことをやりたいはずないのに・・。