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野呂美加さんのお話会in 南相馬

NPO法人「チェルノブイリへのかけはし」代表の野呂美加さんが1月28日(土)、福島県南相馬市・原町地区でお話会を開催した。今回、野呂さんが南相馬でお話会を開くことになったキッカケは、他県に避難している南相馬の人たちから、「ぜひ南相馬に残っている住民の方々に、放射能の危険性を伝えてほしい」という依頼を受けたからだという。原町地区は、福島第一原発からおよそ25㎞の地点。 “旧緊急時避難区域”に指定されていたが、昨年9月30日に解除されて以降は、避難先から子どもを連れて戻ってくる人も増えているのだという。とはいえ、福島第一原発の事故は収束にはほど遠く、今度大きな地震がくれば何が起こるかも分からない不安定な状態。また、南相馬市の空間線量は0.4~0.6と高く、特に放射線の影響を受けやすい子どもにとっては、厳しい環境と言わざるえない。他県に避難している南相馬の人たちは、そんな状況を危惧して野呂さんに依頼してきたのだ。

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■お話会は警戒モードでひっそりと行われた


お話会前の野呂さんは、非常にナーバスになっていた。「妨害が入るかもしれないから」とのことで、お話会の開催場所は非公開。ブログから申し込みがあった人のみに告知するという警戒ぶりだった。なぜなら南相馬市は、「除染・復興モード」一色で、放射能の危険性を口にする人には、「風評被害を生む!」「復興の妨げになる!」といった横やりが飛んでくるからだ。今回、お話会の会場を提供してくれた南相馬市在住の佐藤晃一さんは次のように言う。「公共の施設もあたりましたが、どこも貸してくれませんでした。今、南相馬市は、避難した人に戻ってきてもらおうと躍起になっています。だから、南相馬の危険を訴えるような講演会には、場所は貸してくれないんですよ。経済第一で、人命は後回しなんです」その結果、佐藤さんが経営する託児所をお借りして開催することになったのだ。ちなみに託児所は、原発事故以来休業中で、再開のめどは立っていないのだという。

■“ぬまゆ”さんも来場

「あまり告知もしていないし、10人も集まらないんじゃないか」と危惧していたお話会だったが、ふたを開けてみると来場者は25人にのぼった。男性、女性、子ども連れの方……。中には、除染作業の途中で抜け出して来たのか、防護服を着たままの若者の姿もあった。そして、最近“ぬまゆのブログ”で注目されていた、南相馬市在住の沼内恵美子さん(46歳)もかけつけてくれた。(ぬまゆさんのインタビューは後日、日刊ベリタで掲載します)


■現地から声をあげて、と野呂さんの訴え

この日のお話会は、3時間ほどぶっとうしで行われた。それほどまでに、野呂さんの南相馬に対する思いが強かったとも言えるだろう。以下に、南相馬市で野呂さんが話した内容のうち、南相馬の方々への訴えの部分を掲載しておきたいと思う。

***以下、野呂さんのお話より***

放射能というのは、数値は半減していくけど、ちょっとやそっとではなくならないものなんです。体内に、どれだけ放射性物質を取り込んでしまったかということは、測らないと分からない。ちゃんと住民の皆さんで団体を作って、市に対して「すぐにホールボディカウンターで計測してくれ」と要求していかないとダメです。「台数が足りないからできない」なんて、言い訳させていちゃダメです。市が「安全だ」と言って帰還を促すのであれば、それを測って証明してもらわないと。これは福島に限らず、日本中どこでもやらなくちゃいけないと私は思っています。それで体内の放射線値が高い人には、国の責任で沖縄とかハワイに保養につれて行ってもらわないといけません。

みなさんは、そういう事を要求できる立場なんですよ。みんな黙って良い子にしているから、相手はつけあがるんです。福島の人が大人しすぎると、外部の人間は、どう声をあげたらいいのか戸惑ってしまいます。だから、勇気を出して声をあげてほしいのです。周りから嫌なことを言う人がいたら、「あんたがおかしい」と、言ってやってください。

チェルノブイリの子どもたちを、最初に「保養に出す」と言った学校の先生は刑務所に入れらました。事故から4~5年たつうちに、子どもたちが体育の授業のときに倒れるといったことが起こってきて、それで国外に保養に出すということを考えたそうですが、当時はまだ旧ソ連政権下だったので、そんなことを言った人は刑務所に入れられたのです。

なぜ国外に出したくないか、なぜ県外に出したくないかといったら、その被害を外部の人間に知られたくないからです。だから国や自治体は、なるべくみなさんを県内にとどめておきたいのです。
さっき申し上げましたが、被爆者のデータは国家機密なんですよ。日本政府がこんなに莫大な規模で、原発被爆者のデータを集め始めているのです。これは大変危険なことなんです。さきほどベラルーシの汚染地図をご紹介しましたが、この汚染地域に残された人の数は200万人。この数、どこかで聞いたことないですか?福島県と同じですよ。だからすごく危険なんです。
母体の総数は同じで、汚染度が違うんですよ。講演の中でも言いましたが、チェルノブイリに近い数字は関東の方です。福島市や南相馬市も、チェルノブイリより高い。だから今度は、チェルノブイリより高い数値のところに住んでいる200万人のデータがとれると思って喜んでいる人がいるということです。同じ人間ですよ。そういうことを許しちゃいけないでしょう?

なんで、黙ってそういう人の言うことを聞いていなくちゃいけないんでしょうか。でも、一所懸命外から批判してもブロックされて……。これまで、鉄のブロックのように感じてきました。

チェルノブイリも、最初の一年くらいは除染をやっていたんです。でも、線量は下がらないし、除染作業に動員された市民たちが次々と亡くなっていったこともあり、すぐにやめています。すでにこういう事例があるのだから、町内会に働きかけて、即刻除染はやめさせないといけない。その代わり、移住の権利を確立したり、移住ができない人は、ホールボディカウンターで定期的に体内の放射線値を計測しながら、高い人に関しては、大人であっても政府の責任で保養に出すと。そういう権利を勝ち取っていかなくてはいけないんです。

私は、そういうことを話すために今日、来たんです。みんなに放射能を怖がって、毎日を泣いて過ごしてほしくて来たんじゃないんですよ。私たち自らが、自分たちの環境を変えていくことで、世界中の被爆者を助けることができるんです。
チェルノブイリと同じ事を繰り返さないためにも、言論の自由がある私たちは、なんとか最悪の事態にならないうちに早く手を打たなければなりません。チェルノブイリのように、10年間もIAEAに小児甲状腺がんのデータとらせていてはいけないんです。
あの人たちは、あのデータが欲しかったんですよ。広島、長崎でやられっぱなしで、さらに福島まで、そういうデータを渡すわけにはいかないんです。
だから自分たちで出来ることを探すんです。髪や爪を海外に送って検査してもらうのもいい。そのデータを持って、「これだけの数値が出たからすぐにホールボディカウンターで測って欲しい」と自治体に要求するのもいいでしょう。なんでもやらなきゃダメです。

次から次に問題が出てくるけど、次から次にやっていくしかない。証拠を突きつけていくしかないんです。
自分のことだけじゃなくて、福島の全部の人を救うんだというくらいの気持ちでやってください。そうじゃないと、ただ数値だけ測っても、今度は自分が怖くてしかたなくなってしまいます。なんのためにやるかということを考えてほしい。すごく大きな視点を持ってやってほしいんです。

一歩一歩積み上げていきましょう。チェルノブイリの人たちもみんなそうしてきたのですから。

最後の被爆医師・肥田舜太郎氏「マスコミは真実を」 市民と科学者の内部被爆研が発足

日刊ベリタに以下の記事を掲載しました。

『最後の被爆医師・肥田舜太郎氏「マスコミは真実を」 市民と科学者の内部被爆研が発足』

http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201201301536211

1月7日(土)に、神戸で『From 3.11福島の今を知ろう』という講演会を開催します

私の地元は、神戸です。

実際に、被災地から距離が離れるほど、“原発”“放射能被害”に対する危機感が薄なあ、と実家に帰るたびに痛感していました。

そこで来年の1月7日に、福島市で高校の教員をしていらっしゃる赤城修司先生をお招きして、『From 3.11福島の今を知ろう』という講演会を開催することにしました。

福島市といえば、今現在も空間線量が1マイクロシーベルト/毎時を超えるような高線量地域が多く、チェルノブイリなら、“移住の義務ゾーン”“移住の権利ゾーン”に相当しているエリアです。

赤城先生は、そのような高線量地域にある高校の教員をされていて、3.11以降からずっと、子どもたちの様子やご自身の生活を記録しておられました。

その膨大な資料をもとに、3.11以降、赤城先生が実際に見て、聞いて、感じたことを中心に時系列でお話していただく予定です。

以下、チラシとなっておりますので、関西方面にお住まいの方は、ぜひご家族、ご友人お誘い合わせの上ご来場ください!

今、福島で起こっていることは、決して他人事ではありません。もし万が一、あなたがお住まいの近所の原発が爆発したら…、あなたの身にも同様のことが起こると思います。
現実を知り、「今できること」を考え、アクションにつなげましょう。

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