全国各地のスーパーや家電量販店などは、4月1日の消費税増税を目前にして買い物客でにぎわっている。税率5%のうちに日用品や保存のきく食料品などをまとめ買いしたり、家電製品を駆け込み購入したりする人たちだ。

 消費税8%となる2014年度の家計の負担はふくらむ。みずほ総合研究所によると、年収300万円未満の世帯で年間平均5万7529円、年収600万~700万円の世帯で9万5562円、それぞれ増える見込みだ。

 ◇国民裏切るかけ声倒れ

 負担増をやわらげようと、消費者は生活防衛を図る。それに比べ、税の効果的な使い道を考え、国の財政のかじ取りを任された現政権には、節約の発想も、やりくりの工夫も見られない。

 安倍晋三首相は昨年10月の記者会見で消費税増税を表明し、国民に「歳出のむだは不断に削減していく」と約束した。ところが、実際にはかけ声倒れが続いている。

 昨年末にまとめた新年度予算の政府案は、公共事業費をはじめ、防衛、農業関連などの主要な経費がそろって増額だった。予算規模は95兆円を超えている。

 今年になって国会で成立させた13年度補正予算は「だまし討ち」のようなことが起きた。政府の行政改革推進会議が「むだ」と判定し、新年度予算からそぎ落とした事業の多くを復活させたのである。

 自らの身を削って、えりを正すための改革もできていない。

 「国民に負担増を求める以上、身を削る必要がある」と自民、公明、民主3党が、衆院の大幅な定数削減で合意して1年4カ月もたつ。しかし、定数を「0増5減」する応急手当てだけで、放置したままだ。

 今回の負担増が、社会保障制度の充実や将来の不安解消に大きな力となるならば、まだいい。実際のところ、税率8%で生まれる財政のゆとりはわずかで、借金を穴埋めするのにも不十分だ。新しい対策はほとんど始められない。

 法律に定めた通り15年10月に消費税率を10%に引き上げ、財政の余裕度をもう一段高めることが、将来につけを回さず、次世代への責任を果たすうえで欠かせない。だが、むだを見直さず、自らの身を削ろうとしないまま現政権がそれを言い出しても、国民は納得しないだろう。

 今、求められるのは消費税増税の二つの原点の再確認である。

 まず社会保障を持続可能なものにすることだ。

 制度改革の骨格となるプログラム法は昨年末に成立した。所得に応じて負担を上乗せしたり、給付を減らしたりする新しい考えに基づいている。痛みを伴う方針転換だけに、強い反発があるだろう。だが、圧力に負ければプログラム法を肉付けする個別分野の法改正が遅れ、給付の抑制が進まない。政治的な困難さを克服して着実に実行すべきだ。

 緩んだ財政規律を改め、むだを削る姿勢を国内外に明らかにすることも非常に大事だ。

 国の借金残高は昨年6月、ついに1000兆円を超えた。借金増加の勢いは衰えない。一方で、民間も含めた国としての「稼ぐ力」である経常収支は12年度まで黒字だが、その黒字額は小さくなる傾向にある。「双子の赤字」が現実味を帯び、内外の市場関係者が今後の動きと政府の対応を注目している。

 ◇不可欠な弱者への配慮

 こうした中で次の15年度予算編成に向けた議論が6月ごろに始まる。増税による経済の停滞が心配になる時期でもあるが、一時的な動きにとらわれて公共事業などの歳出をふくらませる方向を目指さず、長期的な視点に立って歳出膨張に歯止めをかける姿勢を明確にすべきである。

 重要なことがもう一つある。かつての消費税増税時に比べ、目配りしなくてはいけない経済的な弱者が増えている点だ。

 政府は今回、低所得者対策として住民税を払っていない2400万人に1万円を給付する。条件は異なるが、同じ狙いだった消費税導入の1989年度は対象者563万人、5%に上げた97年度は890万人だった。四半世紀で、それだけ生活に苦しむ層が増えているわけだ。

 食品など生活必需品の税率を低く抑える軽減税率の導入を急がなくてはいけない。自民、公明は5月までに「基本的な考え」をまとめる方針だが、10%に引き上げる段階での導入を可能にするため、具体的な制度設計に早く取り組むべきだ。

 食品のほか新聞、書籍類の税率も欧州各国のほとんどがゼロや数%に抑えている。「知識には課税しない」という考えは、だれもが情報を入手しやすい環境を整え、民主主義を支えるうえで不可欠である。

 17年ぶりの消費税増税は、国民の日々の暮らしに大きな痛みを伴う。この痛みが未来の明るい展望につながるならば、まだ我慢できる。しかし、政治の怠慢によって無になるならば、腹立たしい限りである。

消費増税前の駆け込み買いで、最後の日曜日、今日は、買い物でしょう。

今日も元気で!

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