こんにちは!秀平文忠です。
歩道橋の上でふと立ち止まったとき足元に伸びる影がいつもより濃く見えたことはありませんか。普段は自分の動作を忠実に真似するだけの相棒ですが夕方の光が斜めに差し込む時間帯だけは少し様子が違います。背後に回り込んだ光が地面に映し出す漆黒のシルエットはどこか意思を持っているかのようにゆらゆらと揺れているのです。私たちが当たり前のように引き連れて歩いている影という存在ですが実は光と物体が織りなす極めて不思議な自然の隙間と言えます。
影の正体を深く考えてみるとそれは単なる光の不在ではありません。太陽から届く莫大なエネルギーの粒子が自分の体によって遮られ地面に到達できなかった場所こそが影なのです。つまり影とは自分が光を遮った証であり地球上の小さな空白地帯と言えます。光が存在しなければ影も生まれないという当たり前の事実は光と影が常に背中合わせのペアであることを教えてくれます。足元の黒い輪郭に触れようと手を伸ばしてもそこに触感はなくただ冷たいアスファルトの感触があるだけです。それでも確かにそこには周囲と異なる温度と光の空白が存在しています。
この不思議な空白を日々の暮らしに重ね合わせてみると面白い発見があります。私たちは普段の生活の中で効率や成果ばかりを求めて動き回り光のあたる表側ばかりを気にしがちです。しかしスケジュール帳の空き時間やふと一息つく無言の瞬間こそが自分の心が呼吸するための大切な影の空間なのかもしれません。忙しく走り続けているときほど足元の影は短くなり立ち止まって静かに夕日を眺めるときほど影は大きくゆったりと伸びていきます。影の長さは私たちが自分の立ち位置を見つめ直すための隠れた尺度なのかもしれません。
足元の黒い相棒は私たちがどこへ向かおうとも決して文句を言わず静かに寄り添い続けてくれます。光が強いほどその姿は濃くはっきりと浮かび上がり暗闇の中ではそっと姿を消して寄り添ってくれます。明日街を歩くときはほんの少しだけ歩調を緩めて自分の足元に伸びる線に目を向けてみてください。ただの黒い形だと思っていたものが自分自身のペースや心の余裕を映し出す静かな鏡のように思えてくるはずです。光がある限り影はいつでもあなたの足元で静かに語りかける準備を整えています。