「岩に牡丹」諸田玲子 読了 | pyonpyon ブログ

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「岩に牡丹」諸田玲子 新潮社

秋田と江戸を舞台に、史実にミステリーと秋田蘭画と呼ばれる絵画を上手く組み合わせた小説

 第8代秋田藩主佐竹義敦(次郎)、分家筋筆頭の佐竹北家当主佐竹義躬(又四郎)と下級藩士の部屋住みである小田野直武(武助)
この3人は、身分の差はあれ絵画を通して繋がっていた

 幕府で絶大な力を持つ田沼意次の意向で鉱山の指導で秋田を訪れた本草学者で発明家の平賀源内、たまたま武助の描いた絵を見てその才能に驚き、江戸へ呼び寄せ、武助は江戸で杉田玄白や司馬江漢と繋がりを持つ機会を得て、解体新書の扉絵を描く事になる 

予定を上回る滞在を終え、西洋の画材や技法を持ち帰ったことで秋田蘭画がみちのく地で花開く 

4年が経ち、江戸の司馬江漢より「度重なる奇行と時代の変化によって田沼意次に見放された平賀源内が田沼と秋田の佐竹を揺るがす隠された事を暴露しようとしている」という手紙が届く 

 壊れてゆく天才平賀源内、田沼の指示で送り込まれる刺客など、女心を描く話の多い諸田作品とは一味違う作品 

藩主の苦悩、藩第一と藩主に使える事が使命の家臣、争いに巻き込まれ絡め取られてしまう藩士の悲劇など
登場人物は、ほぼ男性 

ミステリー要素も強く、史実を知らなかったので誰が生き残るのか?など最後までハラハラ