
「よこまち余話」木内昇 中央公論新社
少し前に読んだ「惣十郎浮世始末」の作家
2016年の本です
2016年の本です
本の紹介では…
その路地には秘密が漂っている
魚屋の次男、浩三は同じ長屋のお針子、齣江を通じ「いつかの人々」と出会うことに
その路地には秘密が漂っている
魚屋の次男、浩三は同じ長屋のお針子、齣江を通じ「いつかの人々」と出会うことに
「異人たちとの夏」山田太一
「宵山万華鏡」森見登美彦
この2作のような、異世界(どこかでまだ続いている過去の世界)と繋がっていたり、自分が経験できなかった人生を経験させてもらっていたり…
「宵山万華鏡」森見登美彦
この2作のような、異世界(どこかでまだ続いている過去の世界)と繋がっていたり、自分が経験できなかった人生を経験させてもらっていたり…
舞台は多分東京。下町で古い長屋に住む人々の日々の生活の話で始まる
よくある設定かな〜と思いながら読んでいると
よくある設定かな〜と思いながら読んでいると
「ん?」と少し不思議な違和感を感じる場面が1つ、また1つと散りばめられる
浩三が足元に伸びる影と話す事、お針子の齣江さんの家に入り浸る向かいの部屋のトメ婆さんの壁の穴から見えた煌びやかな世界
「雨ふらし」と呼ばれる家賃集金人の男
齣江の元へ着物の仕立て注文に訪れる大高と言う身のこなしの上品な男
齣江と向かいのトメ婆さんだけは、何かが通じ合っている
これに普通の日常的な話が織り交ぜられる
浩三の母と魚屋を営む真面目な長兄浩一が月に一度の贅沢として訪れる和菓子屋の大将と弟子の話
齣江が訪れる田舎の町と其処に住む家族の話
齣江の元に注文された糸を届ける糸屋の倅
浩三の進学先で出会う先輩遠野さん
祭りで行われた能舞台を見ながらその幻想的な雰囲気に入り込んで異世界へと誘われていく様子
途中から少しづつ、齣江と婆さんの関わりが分かってはくる
途中に散りばめられたヒントは最後に繋がって行く
齣江の青春、婆さんの過去、その他の人のこの先などを感じさせながら物語は終わる
「惣十郎…」を読んだ時も文章の感じが好きだったけど、この作品は特に表現の仕方が美しい文章になっている
路地の先から聞こえた音を
「東の石段に物音が立った。用心深い下駄の音だ。」
「東の石段に物音が立った。用心深い下駄の音だ。」
耳に響いた音のことを「物音が立つ」
こういう表現をする感覚が好き
こういう表現をする感覚が好き
他に感想を後回しにしている本が溜まっているんだけど、それをおいても先にこの本を紹介したかった!
そんな本でした!