
デビュー40周年記念の自伝的父子小説
作者30歳、執筆活動をしつつ世界を旅する生活をしてきた中で、妻の妊娠が判明する。
子育てに適した新居を建て「永遠に実現しない希望」を意味する弥勒菩薩から息子の名前をミロクと名付ける
生後間もない頃から世界中の旅に同行させどこの国でも可愛がられるミロクくん。
この時期を作者は「誰からもチヤホヤされていた短い黄金時代」と呼び
その後のミロクくんのなかなか難しい人間関係の中での事を「長い修業時代」と呼んでいる
作者は、ミロクくんをのびのびと育てたいと思っていたが妻の考えは違った
ミロクくんの幼稚園生活はなかなか大変な日々で
幼稚園からの帰り道に
妻が「今日はなにしたの?」「何してる時が一番楽しい?」「仲良しのお友達は誰?」など質問すると
ボソボソと答えるが不意に泣き出したりするのでわけを聞くと
「みんなができることが自分にはできない」と
先生との面談の際に様子を訊ねてみると「泣きながら遊んでいる」と言われた
途中から友達のペースについていけなくなったり、からかわれたりすると泣き出すか癇癪を起こすらしい
こんな状況で公立小学校では後々大変になる!とお受験へ
お受験は無事にクリアできるのだが…
ミロクくん、結局一人遊びの時間が多くなる
それを気づかれぬようにそっと盗み見る事が愉しみになった父
気配を消してこっそり覗き見していたら、ある時短いくんはスリッパと会話をしていた
ミ「1番嫌なことは何?」
ス「足が臭い人に履かれた時」
自分で訊ねて自分で答えている
家にあるもの全てに話しかける
床に座りベッドのマットレスにひそひそと
ミ「一番嬉しい時はどんな時?」
マ「疲れている人に寝てもらった時」
ミ「寂しいのはどんな時?」
マ「真っ暗なところにいる時」
天井を仰ぎ電灯に訊ねる
ミ「暑い時はどうするの?」
灯「友達のエアコンに冷やしてもらう」
目覚まし時計を抱きかかえ
ミ「行きたいところは何処?」
時「百年後」
大人じゃ、思いつかないね
大人が余計な価値観を植え付けないで見守っていると子供はこんなにも自由に色んな発想をすることができるのね
まあ、自分の息子がこうだったらゆっくりと、成長を見守ってあげることが出来るのか?「普通でいいから」とか思っちゃいそうだわ
島田雅彦、若い頃はテレビにも、よく出ていて、なかなかの美形でしたね😁