
「麻阿と豪」諸田玲子
PHP研究所
前田利家の娘として秀吉の元、全く違う境遇で戦国の世を生き抜く姉妹の物語。離れて成長したせいもあり始めの頃は距離を感じながら接していた二人だったが、秀吉の死後からは前田の娘として強く結び付いてゆく姉妹。
姫と呼ばれていた娘時代から、それぞれの家を守る家刀自として立派に采配をふる頼れる女性へと成長してゆく二人の姿。
秀吉の側室の中ではエピソードの少ない脇役のイメージが強い麻阿だが、その生い立ちも含め、あの豪も驚くほどの芯の強い性格、冷静な判断力を持っていた女性として描いている。
波瀾万丈の人生を送った豪、秀吉の没後にささやかな幸せを得ることができた麻阿、短命だったが幸せな最期だったと思う。