
「漆花ひとつ」澤田瞳子
講談社
八条東洞院に住む上皇・宗仁(鳥羽上皇)の時代
典薬寮、典薬頭(てんやくのかみ)
の元で働く女医師、大津阿夜
女医師の地位は低い
冒頭から、夫に別の女の元へ逃げられる
もう、仕事に生きる!そんな始まり
土御門東洞院の屋敷に住む摂関家の先代当主、藤原忠実の息女であり上皇の皇后、藤原泰子に仕える事になる
泰子は若き日に白河院(白河上皇)に入内を阻まれたまま年を重ねて39歳
大津阿夜の仕事は主に泰子の恐らく更年期の症状の対応
白河上皇が没した期に、既に上皇となった宗仁のもとへ漸く入内のはこびとなったが
白河上皇のごり押しで既に宗仁の元へは養女の藤原璋子が妃として入内している
子までなしていたが宗仁と璋子の仲は良くない
泰子も歳を取りすぎており、宗仁からも見向きもされない生活だが、自身が君臨している座を脅かされはしないか、と璋子は泰子に敵意むき出し
泰子へ嫌みな手紙や贈り物を度々贈り、また泰子もそれに返礼の嫌みな対応をしたり、夫に見向きもされなくなった女同士の争い
この攻防はなかなか面白い
しかし宗仁の愛情は八条東洞院に住まう姫君に
この若い姫憎しで二人は結託したかのように見えていたが…
それぞれの後ろ楯である家の思惑に翻弄された女の業の話
他に短編はあまり面白くなかったかなー