
「非器の城」新井勉 批評社 読了
前に読み終えていたのに😅
この本の後に読んだエッセイの方を先に投稿したりして
そろそろまとめないと忘れてしまいそうなので慌てて投稿
Amazonの解説と出版社の批評社の解説も本文から抜き出した文章を載せていて、つまんない解説になっているのが残念なほど
なかなか面白い小説でしたよ!
主人公は渡辺家の次男である「芳泉(半丞丹後守)」
内容は…
徳川四代将軍家綱から五代綱吉への代替わりで揺れる将軍家
綱吉の悪政の犠牲になった者、運良く立身出世出来た者の話
同じ時代を過ごした芳泉が目に耳にしたことを書いた忘備録
家綱の病が重くなり御後継を決めねばならない時
大老酒井忠清が候補に名が上がった綱吉について
「母親譲りか、館林候は五尺に足らぬ短躯に耳が異様に大きい。
耳はよいとして両側の鰓が異様に張っておる。鰓が張るのは我が強い証拠だ。
小さい体でいつもきいきい甲高い声を上げて、みっともなくて仕方ない。
どう見ても、武門の棟梁の地位に相応しくない。
周囲が頻りに利発だ利発だと褒めそやすものだから、自分もすっかり賢いつもりになっておる。
物覚えはよいようだが、ただそれだけの事に過ぎない。
この小男は自分を賢いと思い込んでおる故、今後、傍の者はどうにも手がつけられまい」
笑えるほどの嫌われよう🤣
これにもう1人の候補「甲府候、綱重&綱豊親子」についても引き合いに出し
「(綱吉の愚かさは)甲府候の鈍よりもっと始末が悪い」と付け加えられるのです😝
甲府候、親子で鈍と言われており、幼くして漁色で天皇家から嫁をもらう時にもその始末でゴタゴタ😩
他に綱吉が単純な頭で偏った考え方だったお陰で、当時では珍しい「恋愛からの結婚」を成就した若い二人の話や見合い相手に夢中になりすぎて拉致を企てる未熟者の若君の話など、史実(恐らく事実)が小説になっています
忘備録としたのは、奥方のお召し物の柄や食べ物などについても細かく書かれていて、その時代の武家の生活や身なりも分かったりするのです
面白い作品だから、どなたか文才のある方が上手くレビューを書いてくれないかな