「エヴァンス家の娘」 ヘザー・ヤング 早川書店
避暑地の湖畔に小さな別荘を持つエヴァンス家
祖父の代から薬局を営む一家が夏季の間過ごす湖畔の避暑地
話は、1935年と現代とを行き来する
ある日、孫にあたるジャスティーンに大叔母のルーシーが残した湖畔の家の相続
の連絡が入る
ジャスティーンはルーシーの姉リリスの娘で奔放な生活を送るモリーの娘
二人の娘とBFのパトリックと暮らしているが、ある事件をきっかけに彼との生活に
疑問を感じ始め何も告げずに娘二人を連れて遠く離れた湖畔の別荘へ移り住む
遠い昔、この湖畔の別荘で過ごした夏に幼い妹が失踪し未だに消息が分からない
避暑地に集う同世代の子供たち、姉のリリスの成長、ロッジのミラー兄弟との関係
厳格な父と自分の意見すら持てない母
湖畔の別荘、幼い子の失踪、娘の帰りを待ち続け年老いていく母・・・
ケイト・モートンの「湖畔荘」に似た設定だが、内容はこちらの方が断然スリリング
特に姉のリリスがどんどん成長していき置き去りになっていく次女ルーシー
現代ではジャスティーンの目線で話が進み、過去の話ではルーシーの目線で話が進む
ジャスティーン、ルーシーの目線で話が進んでいるので、本人が気づいていない重大な事などが
後に判明したりするが
そのことを「実はあの時・・」みたいなつまらない種明かしとして書かれていないところが
私の好み
子供の頃って、重大な事件に全く気付いていないことがあるからね
その辺りを自然に書いているのよ
戦争をはさみエヴァンス家の状況も変化していく中で、なぜリリスもルーシーもこの田舎町にある別荘を
離れることなく亡くなったのか?エヴァンス家が隠し続けた秘密はなんだったのか?BFのパトリックの執拗なまでの
ジャスティーンへの執着など
ラストに向かって話は過去も現代も一気に盛り上がる
湖畔で姉妹が対峙する場面、10代の2人がお互いに女の性をむき出しにする描写は迫力
「湖畔荘」と比べるとこちらの方が大人向けのミステリー色の高い内容
ラストも私の好きな終わり方
この作者のほかの作品も読みたいと思って検索したけど
2016年に本作品でデビューだったそうで、2作目は(あるのかどうかも分からないが)まだ翻訳されていない模様