誉田哲也の新刊を二冊読みました
「硝子の太陽N - ノワール」 中央公論新社
「硝子の太陽R-ルージュ 」 光文社
今回の新刊はそれぞれ違う出版社からの発行だけど、内容がリンクしていると言う設定
「硝子の太陽N - ノワール」 を先に読んだんだけど、これが正解!
この作品は、「歌舞伎町セブン」がメインで「ジウ」で活躍した東刑事がからむという設定
沖縄基地問題、沖縄のアメリカ兵による犯罪、日米地位協定の問題、似非右翼、左翼、ジャーナリストの殺害、政府転覆計画等々いろいろと放り込んだわりに、犯罪の手口はどっかで読んだ(誉田作品)手口の焼き直しばかり。
「ストロベリーナイト」の姫川刑事も登場する、となっていたが、ほんのチラリと出るだけで、こっちの作品に別に出なくても良かったでしょう、な登場の仕方。
ガンテツこと勝俣刑事は、両方の作品で悪臭が漂う様な下品な言動を思う存分撒き散らすのがちょっと面白かったかしら。
だいたい、「歌舞伎町セブン」は初回以降はどんどんつまらなくなってしまっているので、今更そのメンバーが出て来ても最初の頃のインパクトは皆無。
グロテスクな犯行や制裁が売りだったのに、犯人もセブンも使い古しの手法ばかりで、それはまるでアイドルが出す「ベストヒットアルバム」のよう
せっかく両作品がリンクしているというのだから、是非是非こちらから読む事をお勧めします。
なぜなら、「硝子の太陽R-ルージュ 」は久々に面白い作品だったからね~(-^□^-)
「硝子の太陽R-ルージュ 」
こちらは、姫川玲子シリーズのメンバーが大活躍
死んだはずの菊田刑事もシラ~っと登場←いいのいいの、これでいいのよ~
ここ2~3年、作者はネタが尽きてしまったらしく重要な登場人物を殺してしまってにっちもさっちもいかない状態になっていたからね
今回の事件は、時効を迎えた一家惨殺事件と似た事件が起こるが、捜査は行き詰ってしまう。
同時に進行しているジャーナリスト殺害事件の被害者が一家惨殺事件の捜査の中で名前が挙がって来た事で2つの事件が繋がりを持つのか?
こちらもベトナム戦争の悪夢に苦しむアメリカ兵が重要な役回り
ただ、その悪夢が現実か分からないシーンが長く、読んでいても「なんだよ、これは想像かよっ。紛らわしいな」が多い (^_^;)こうしてやろう!と思ったけどしなかった、みたいな←パンクブーブーのネタでこんなのあったよね(笑)
作者が今、気になっているのが沖縄の米軍基地問題なんだろうけど、作家が政治的な考えを作品に入れ出すとだいたいつまらなくなっていくんだよね~┐( ̄ヘ ̄)┌
その代表が「浅井光彦シリーズ」の内田康夫
毎回、その当時話題になっている事件などの事を冒頭に入れるモノだから、そういうのが大嫌いな私は「チッ、またかよ」ってなってしまってその内いっさい読まなくなった
話がそれてしまった
ガンテツはこっちでも相当に嫌なヤツで、もうドラマでガンテツを演じた武田鉄也の顔しか浮かばない
姫川は、竹内結子の顔しか浮かばす、菊田は西島秀俊
作者は、このメンバーだといきいきと書けるようで(^_^;)
特に姫川の心の中で文句を言う時の気持や言葉は、男性作家なのに「よくおわかりで」と関心する
まあ、また誰かを死なせて大団円を迎えると言う悪い癖がでておりますが、全体的には久しぶりに誉田作品で楽しめました ♪(*^ ・^)ノ⌒☆
両方の作品が重なっているという証拠?に同じ場面があるんだけど、そっくり同じで、ただの行数稼ぎとしか思えない
こんなのいらないです。
しつこいようですが、くれぐれも「硝子の太陽R-ルージュ 」 から読まないように。
こっちを先に読んだら「硝子の太陽N - ノワール」のつまらなさに耐えられない。
「硝子の太陽N - ノワール」を出版した中央公論新社、お気の毒に。
誰が読んでも光文社の出版した「硝子の太陽R-ルージュ 」に力を入れたのが分かるもの~