「戦場のコックたち」深緑野分 | pyonpyon ブログ

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松任谷由実。




今、読み終わった

作者の深緑野分(ふかみどりのわけ)が男性なのか女性なのかもわからないけど

いい作品だった

第二次世界大戦、ノルマンディー上陸から参戦した若い兵士ティモシー(キッド)が主人公

彼の実家はルイジアナで雑貨店を営んでおり、料理上手な祖母を中心としたごく普通の暖かい家庭に育った優しい青年

おばあちゃん子の彼はコックとして戦地に赴く

戦争モノだけど、戦闘シーンは短い

後半になって仲間が徐々に減っていく過程も特に劇的に描くわけでもなく淡々と書かれている

それがこの話を読みやすくしているのかもしれない

主な話はを、進軍していく中でのキャンプでの事

戦後まで連絡を取り合うことになる仲間との出会いを織り交ぜながらキャンプ内で起きるちょっとした事件などが続く

降下後のパラシュートを回収して回る兵士はパラシュートを何に利用しようとしているのか?、食料物資の横流し事件の犯人探し、軍の広告塔になっている美男だけが取り柄の兵士の扱い、気の荒いキャラクターのコック仲間が精神を病んでいく様子、幽霊事件、オランダで関わった家族と生き残った二人の子供、仲間の死、スパイ疑惑をかけられた仲間の脱出作戦、ユダヤ人収容所の開放場面など

青春小説のような感じもするけど、主人公のキッドがまだ10代後半で入隊して帰還するまでの2年間の話なので違和感はない

これは、描きおろし作品だそうです

私、てっきり外国人作家の翻訳だと思っていた

それくらい、末端の兵士の日常がよく描けている

日米での戦争モノはよく目にするけれど、米軍がノルマンディー上陸以降、どの様に進軍していったから、などはあまり知らない

作者もいろんな文献を参考にして書き上げたようで本の最後に載っている参考文献や資料は3ページもあった


話の大部分は10代後半から2年間の軍隊生活、それにエピローグとして40年後の場面が付け加えられている

これ、映画かドラマにすればいいのに

若い人にも読みやすい内容の話だし戦争の悲惨さもちゃんと伝わるもの