「恋形見」 山口恵以子 徳間書店
この作家、最近「ワイドなショー」などで辛口コメンテーターとして活躍している、ちょっと変わった経歴を持つ女性
男女間の事をコメントする時に、けっこう辛辣な事を言うな~といつも思っていてどんな作品を書くのか気になっていた
内容は、よくある話
太物問屋の跡取り娘が逆境にもめげずに娘らしからぬ度胸と発想で店を大店にする一代記
徳間書店の内容紹介では「号泣必至」と書いてあるけど、それはないよ
泣く程の内容ではない
太物問屋「巴屋」の長女「おけい」の12歳~40代までの話
初恋の隣家の放蕩息子「仙太郎」がくれた櫛を支えに、頑張っていくおけい
登場人物は個性的なのだが、出会うきっかけが単純すぎるのと、話がトントン拍子に進み過ぎている
陸奥の国の下渡海藩の領民が作りだす色鮮やかで上等な木綿を使って着物を仕立て、江戸で流行らせる話など面白いのだが(これだけで作品を書く人もいそう)その後のなんとなく尻すぼみになってしまう
怪しい両替商の橘屋との関係も橘屋が他のキーパーソンになるいろんな人物と都合よく繋がる事もちょと安易すぎて・・・
チラッと出た子供が後に成長してまた関わる事や、一番ひっかかるのが仙太郎の消息についてが安易すぎて興ざめ
何もその人と繋がらなくても、自分の想い人の面影を漂わせる他人であってもいいと思うんだけどね
長く生きていれば「あぁ、この人、昔の知り合いにとても似ている」と思う事が多々ある
当時のその人の年齢(若い時の知り合い)に近い年齢の人に昔のその人を重ねてしまうとかね
この作家、(男性は知らないかもしれない)女性の嫌なところをよーく表現できていると思う
特に、おけいの母親の言動に良く現れている
自分の過去の捻じれた感情をそのまま娘に置き換えてしまう事ってよくあるのよね
そんな事を具体例をあげるように書いてある
泣くほどでもないけど、サクッと読めるまあまあ面白い小説でした