「関ヶ原」 岡田秀文 | pyonpyon ブログ

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松任谷由実。

関ヶ原 「関ヶ原」 岡田秀文  双葉社



有名すぎる題材の小説だけれど、司馬遼太郎「関ヶ原」と同じで「石田三成を悪者に書いていない」私好みの小説


秀吉が亡くなる直前から三成が処刑され関ヶ原の2ヶ月後までの話


主に出てくる人物は、寧々、石田三成(島左近)、徳川家康(本多正純)、小早川秀秋(平岡頼勝)、三成の娘「辰」

淀やその他の側室などは殆ど出てこないし、淀と寧々が対立する様な描写も無い


三成が奉行職を追われ佐和山城に蟄居する前に、寧々の元を訪れ9歳の娘「辰」を寧々に託す

自身の将来を考えた上での決断


寧々は最後まで辰を匿い、三成の死後は陸奥国の津軽領主「津軽為信」の嫡子「信建」の元に逃れていた次男石田重成の元へ送る



私のお気に入りの場面は、大谷吉継が石田三成の説得を最初は断るが、佐和山城を出発した後に過去の事をいろいろと思い出し西軍に付くと決める場面と昔の回想シーン


お茶会の席でのあの有名なエピソード(らい病が出ている吉継が触れた茶碗を誰もが触れたがらずに口をつけたふりで回していたのを三成は飲みほした)だが、この話では秀吉主宰の茶席となっている(司馬遼太郎では秀吉没後の法要の茶席)


このシーン、いつ読んでもジーンときてしまう。今回は出席するのを最後まで悩んだ末に出席した吉継が、出席者の冷やかなを態度を感じて出席した事を大変悔やんでいる文章にホロリ




関ヶ原の合戦の場面は、迫力あり!最終的な結果は分かっているのに「西軍勝つの?」と思ってしまうような布陣と作戦だったのよね


あの時、どっちが勝っても二百年後には明治維新は訪れたでしょうから、三成に勝たせてやりたかったな~


そうそう、いろんな作家の小説では無能で尊大な若者と書かれる事が多い小早川秀秋


この小説では、重臣の平岡頼勝や稲葉正成などに逆らいきれない秀秋


大谷吉継が「東軍と通じていると言う噂があるが、間違いなく西軍につくのか」と確認に訪れた際に、頭巾を被り視力も殆ど無い眼で見られると脅えてしまい、心の内を見透かされそうで怖くなってしまう秀秋


返事をする時にちらっと平岡頼勝の方を盗み見ると、余計な事を言うな!と言わんばかりに恐い顔で睨まれる

重臣たちにしても、秀吉から押し付けられた厄介者のために先を見誤るわけには行かないと必死だったのだろう


この作家の小説は、前作の「刺客どくろ中納言天下盗り、最後の密謀」に続き、読みやすくていいね




今、読んでいるのはコレ



祭りの日 慶次郎縁側日記  「祭の日 慶次郎縁側日記」 北原亞以子



NHKで高橋英樹がやっていたドラマの原作のシリーズ最新作


この作家、今年の3月に亡くなってしまったのよね

だから、これが最後の作品になるの


残念だわ