「来春まで ~お鳥見女房~」 諸田玲子 新潮社
主人公の「珠世」は、お鳥見役である矢島伴之助の妻
メインは、シャボン玉売りの「藤助」の話
藤助は、夏の時期になるとどこからともなく現れるシャボン玉売り
初めは、矢島家に居候をしていた「石塚源太夫」と親しくなり、その内「珠世」とも矢島家の家族とも親しくなり、今では季節の訪れとともに藤助が来るのを楽しみに待たれている存在
今回の話では、藤助が江戸に来ていない時期にいったいどこに住んでいるのか?何をして暮らしているのか?が明らかになる
他の話は、矢島家の家族や藤助が関わりながら「愛情のいろいろな形」についての話
流産をした妻を気遣うあまり「友人が捨てた妻子を道場仲間の皆で世話している事」を言わずにいた夫(珠代の次男の久之助)『を「不貞をしているのでは?」と疑って悩む妻の話 ~女ごころ~
矢島家長男の久太郎の妻「恵以」の初産と恵以の父である和知正太夫の死を告げに来た家臣で恵以の守り役でもあった「松井次左衛門」の話 ~新春の客~
経師屋の後家と割りない仲になって、貢いでもらった金で仕官の道を開いて病身の妻を安心させようとしていた侍が犯してしまう人殺し ~社の森の殺人~
数珠屋の奉公先から逃げ出し、食うや食わずで放浪の挙句に食当りを起こし倒れていた少年を、当時、矢島家に家族で居候していたI少女時代の「石塚秋」に薬を貰って助けた事があった。その少年がその後成長し矢島家にお礼に訪れた事で再会した若い二人が恋に落ちる話 ~七夕の人~
石塚源太夫の末っ子(後妻が産んだ)に急に持ちあがった旗本の養子の話には、裏があった。自分の将来について悩んでいた石塚家の次男が子供ながら活躍する話 ~蝸牛~
鷹匠が鷹を盗み出そうとする所を偶然見てしまった矢島伴之助、発覚したら切腹は免れない行為を見逃してくれるように頼まれ「ある人に名も告げずに自分が丹精こめて育てた鷹を昇進の祝いに届けたい」と。鷹匠には、遠い昔に師匠の妻との不貞の過去があり師匠の妻は自害したと聞いていた。その時弟の様に懐いていた師匠の息子への母を奪った償いとして届けたいというのが理由らしい ~鷹匠の妻~
藤助がシャボン玉の季節になっても現れない事を心配した矢島家の面々が藤助を探し始めるうちに、藤助が冬の時期はどこに居るのか?や過去などがいろいろと分かってくる。それと同時に、夫の伴之助が隠居を考えていると珠世に告げ、矢島家は長男の久太郎へと代替わりしていく ~来春まで~
藤助は、きっと戻ってくると皆で信じて来春を待ちましょうという事ね
1つ1つの話は、短く大した盛り上がりは無い
近い人で婚姻関係を結び過ぎているので、話がややこしいところもある話だから、この先どうするのかね?
猛スピードで読んでます
「聖なる怠け者の冒険」 森見登美彦
だって・・次の本が思ったよりも厚かったのよ (゚_゚i)