「金春屋ゴメス」 西條奈加 新潮社
面白かった!
この人の作品は、2011年の「涅槃の雪」から読みだしたような気がする
さっき、Amazonレビューで内容をチェックしてみたけど、毎度の事で内容は朧げな記憶しかない
最近の作品「千年鬼」の記憶はギリギリ残ってます σ(^_^;)
この「金春屋ゴメス」は2005年の作品
もっと早くチェクしておけば良かったよ、続編があるらしいから、そちらも楽しみ
さて、内容・・・
最初は、親分と呼ばれる山の様な大きな体型の人物と子分と思しき人物が江戸で誰かに着いて話しているところから始まるが、直ぐに場面は現代へ
主人公は大学生の佐藤辰次郎、ある日突然、彼の元に江戸への入国許可の知らせを持った担当者が訪れる
江戸への入国??
日本とは別に「江戸」という独立国家が存在するという設定なのである
日本の属領という扱い(この条件を日本の政府が飲んだ事も今回の話に繋がっている)
この「江戸」という場所、「江戸入国しおり」によると
江戸は、北関東と東北にまたがる1万平方メートル足らずの領土(東京、神奈川、千葉を合わせた位)
御内府と呼ばれる中心部は19世紀初頭の江戸を忠実に再現されている
江戸の前身は、21世紀初頭に、ある実業家が始めた老人タウン
趣味と実益を兼ね巨費を投じて江戸を再現した町並みを造った
その内、何人かの素封家が賛同し一気に大がかりな工事が始まり江戸の地形を完成させた
初めは年寄りばかりだった江戸だが、その内江戸情緒に惹かれる若者や自然に根ざした生活を求めるナチュラリスト達が大勢移り住みタウン建設から9年、江戸を創設した実業家自らが初代将軍を名乗り日本からの独立を宣言
江戸入国への応募条件は「数十種類ものウィルスに関するオールフリーの証明書が必要」
江戸は「不測の自体においても構い無用」と日本の政府と取り決めを交わしているので、外部からのウィルスなどの侵入を防ぐ意味あって鎖国を敷いている
そんな江戸で「鬼赤痢」と呼ばれる病が出た
その解決法を探るため、昔この病が出た時に唯一助かった辰次郎が呼ばれることになった
江戸に一緒に入国した「松吉」元商社マン(江戸の入国する際に改名)と旅行マニアの奈美、辰次郎の請け人である一膳めし屋「金春屋」の裏に繋がる家屋の「裏金春」と呼ばれる長崎奉行の出張所(江戸に長崎は無くても工芸品などを江戸から持ち出す密輸などを取り締まる)にいるゴメスこと馬込播磨守やその手下達とともに「鬼赤痢」の菌を撒き散らしている犯人を割り出す
このゴメス、巨体で恐ろしく暴力的だが実は女であり「馬込すず」という名からゴメスと呼ばれ恐れられている存在
辰次郎が江戸へ入国する流れや「鬼赤痢」とは、何だったのか?の説明、登場人物の設定も面白く最後まで飽きない
辰次郎は最初から江戸での生活に戸惑う描写(夜目が全くきかない)や、江戸に住んでいる人は現代の知識をちゃんと持っていたり(日本から江戸へ入国してそのまま住みついている)、江戸が独立国家として認めらている理由など、上手くまとまっている
江戸の「仕置き」の残酷さ、辰次郎は日本で生活していたので、そんな残酷な処罰をしないでくれ・・・とゴメスに頼むが受け入れられないって事が現実味(フィクションだけど~)があっていい
その辺は、江戸の価値観っていうのか?現代日本とは違う価値観で生活が流れている場所という感じが良く出ている
2009年に発売された万城目学の「プリンセス トヨトミ」の4年も前にこんな面白い発想の設定の小説があったのね~
次に読んでいる本
宮藤官九郎のエッセイ
これを読み終ったら、次は「来春まで」諸田玲子、「聖なる怠け者の冒険」森見登美彦、「安井かずみがいた時代」島崎今日子と続いている・・・・ヽ(;´ω`)ノ