「常在戦場」 火坂雅志 文藝春秋
家康の家臣(2~3番手くらいの知名度)の何人かの話
1話の中にギュッと凝縮されている内容
NHK「歴史ヒストリア」みたいな内容かな~
歴史モノを深~く読みたい人には、物足りないかもしれないけど
あんまり長いのは・・・な人には、「幕の内弁当」的な?作りだから、読んでいていも楽しいんじゃないかしら
これって、史実にあるの?みたいな話もあって、まあそこそこ盛り上がる様になっている
登場するのは、ほぼ同時代の家臣達で、鳥居彦右衛門元忠・井伊直虎・石川数正・大久保忠勝・阿茶の局・角倉了以・牧野忠成
面白かったのは、鳥居彦右衛門元忠(伏見城に籠城し壮絶な討ち死にをした老臣)の話
鳥居元忠は「ワタリ」という者の出身だったらしい
ワタリとは、そもそもは徽州熊野三山の山伏だったといわれるが、鎌倉時代に三河国蒼海郡渡村に土着するようになった。渡村は舟運でさかえた矢作川の西岸に位置し「下の渡」と言う渡し場があったところ。ワタリの鳥居家は、ここに住み船稼ぎ、馬借で経済力をつけ、家康の将来に鳥居一族の命運を賭けて仕える事になる。ワタリは全国に情報網をもっており、経済力とその情報網の力で他の大名の動きを探り家康を支えた。元忠は13歳(家康が今川家で人質生活をしている時)から家督を息子に譲った後に出陣した戦(伏見城での籠城)で62歳で死ぬまで家康に忠誠をつくした。経済力を持ち、あらゆる情報を握っていた元忠は家康にとってもかけがえのない存在であったが、その一方で元忠の事を「ゆからぬ者」とも評していた。ゆからぬ者とは、油断ならぬ者、あるいは抜け目ない者という意味。あんなに尽くした結果がこの評価?
ほんの少しの文章だけど、元忠と妻との話、妻の兄(雑賀のワタリ)の話などは、ドラマチックで面白い
角倉了以の話(保津川、富士川の開疏をした人物)は、ほぼ初耳で興味深かった
この本を読んだら、少なくとも登場人物についての薀蓄は語れそう(笑)
これで興味を持って、他の歴史モノを読むきっかけになりそうな本かな~