一面が青緑で緑の海に囲まれた地に人々の営みを見ることができた。

「美しいな」、壮年といっていい男は言った。

「確かに美しい土地です、京にはない美しさがありますな」と青年は答えた。

現在の大阪府と奈良県の県境にある信貴山の山頂に彼らはいた。


壮年の男の名は奥平弥次郎泰政、

今は出家して奥平道龍と周囲には名乗っている。

元々は近江の出、とも京の生まれとも言われるが

実際のところは本人もわかっていない。

年のころ、十五を越えた頃には生家の商売を助けるために、

各地を諸方するようになった。

そのとき、出会ったのがこの青年、岡部政忠であった。

当時は青年ではなく、少年と言っていい年であった。

彼の生まれた村は甲賀にあり、忍術を生業としていたが、

その村が敵対する勢力に攻められ、彼の両親や兄弟も殺され、

追われていたところを道龍に助けられた。

行く当てを失った政忠は道龍に仕えるようになった。


商人の次男として生まれた道龍は商売よりも剣術に興味をもち、

いつしか一端の剣術使いとなった。

襲われていた政忠を救ったのもこの剣術のおかげである。

瞬く間に襲撃者であった忍者三人を切って捨てた。


「後悔しているか、私についてきて?」、道龍はいった。

「ははは、若旦那様には商人は似合いませんや」

「わしは夢を見たいのじゃよ、自分の力でな」

「…」

「いつかきっと、この地をわしの都にする」

道龍は商人の暮らしに飽き足りず、戦国の世に生まれた漢として

夢をみるようになった。

主従、二人とも無言で山を下り、大和(現奈良県)に入った。


代々の大和の守護は興福寺が務めるようになっていたが、

応仁の乱の頃から、筒井家が台頭するようになった。

兄弟で争った畠山家の争いが大和の国人衆も二つに分かれて、

争うようになった。

筒井家は筒井城を地盤に越智氏や十市、箸尾、木沢、柳本氏と

大和の覇権争いをしていた。

1545年に十市遠忠が死去すると筒井順昭の大和の制圧に成功する。


彼ら主従が大和に入ったころはこの頃であった。

主従はかつて、聖徳太子の牧場があった地といわれる

片岡のあたりに居を構えて、田畑を耕すようになった。


最初は主従二人の生活であったが、

もともとの商才で吉野の薬を販売したり、

京の特産品を大和でうるなど、

瞬く間に財を築くようになり、50人ほどの家来をもつようになった。


国盗りの地盤は固まったことに道龍は満足していた。


第二話:筒井家への帰順 」に続く


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