★     11月15日 日曜日

小説は、小説の数だけ、

小説とは何かという小説論を

その小説の中身でもって示すもの

なんだろうけど、

 

ごく短時間で読める小説を集めた

川端康成の、「掌の小説」集も特異なもの。

 

中でも「有難う」という

わずか数ページの掌編小説は、

この「掌の小説」の中でも

傑出していて、印象的。

 

読後にいろいろ考えさせられる小説。

 

 

★     11月16日 月曜日

川端康成の、掌の小説の中にある

「有難う」は、

 

「今年は柿の豊年で山の秋が美しい」

という一文から始まり、

また、その一文でもって終わる小説。

 

登場するのは、

乗合自動車の運転手と

娘を売りに行こうとする母親とその娘の

3人。

 

重いテーマの割には、淡々と述べられていく

展開が、手ごわい。

 

 

★     11月17日 火曜日

川端康成の、掌の小説の「有難う」は

インスタントラーメンが出来上がるまでの時間で

読むことができる

ごく短い小説だが、

 

映画にもできそう。

配役は、運転手に高倉健

母親に樹木希林

娘役に元キャンディーズの田中好子

を、ふと思いついた。

が、みなすでに鬼籍に入られた方ばかり。

 

それにしても、

この小説、

柿と山の秋の色、

赤い乗合自動車、

運転手の、紫の襟の黄色い制服、

自動車の紫の旗、等々

色彩も豊かで美しく

 

それら

映像を越えた

自由なる想像への誘いに至れば、

 

手軽に読める上に、いろいろと考えさせられる

さらに奥深い、小説特有の

醍醐味が味わえる

と思う。