★ 10月28日 水曜日
迷路という遊びを最初に考案した人は
よほど人生の辛酸をなめた人か、
人生の妙趣に開眼した天才だったかもしれない。
というのも、
迷路は人生そのものを象徴している。
なぜなら
紆余曲折、閉ざされた行き止まりばかり。
と言ったら、悲観的過ぎるかもしれないけど、
ともかく、
自暴自棄にならず、
根気強く後退と前進を続ければ、
いつかは出口が見出されるもの。
ということを、最後の最後に明かしてくれる
遊び。
★ 10月29日 木曜日
あったかいご飯を口に運ぶ時
この米が、ここに来るまで
どれだけの人が関わっているのだろうか
と思った。
田んぼに種を播き、育て、収穫し、脱穀し、
袋に詰め、運ぶ。
カップで、その米を炊飯器に入れ、炊く。
その器具を作り、電気を起こし、水を供給する人も要る。
ここまでたどるだけで、すでに相当な人々。
食卓には、
ご飯だけでない。
他に、味噌汁、サケ、卵焼き、
ヨーグルト、コーヒーもあり、
そんなこんなで、
あれこれ考えていったら、
壮大なことになった。
★ 10月30日 金曜日
ジェット旅客機が、遠くに
ゆっくり飛んでいるのを見かける。
新幹線の数倍もの速さだから、
傍で見ると、あっという間に、視界から消えるのに。
そのわけは、例えば
コンパスで円を描く時、
遠くになればなるほど、円弧の長さが長くなるから、
同じ速さのものでも、ゆっくり飛ぶように見える。
人工衛星なら、飛行機よりもっと速い。
秒速8㎞以上だから、
瞬間に消え去ってしまうだろう。
が、ISS国際宇宙ステーションが
上空を飛んでいるのを見るとき、
30秒くらい見ることができる。
ということは、
いかに遠い、
というか、高いところを飛んでいるか、
ということがわかる。
これが流れ星になると、
瞬間に消えてしまう。
ISSごときものではない。それ以上、
なんという速さ。
★ 10月31日 土曜日
浜辺に行き、白い砂を見、
自分の掌に乗せ、
乾いたその細かな砂を
サラサラと指の間より、落としてみる。
そして、
「いのちなき
砂のかなしさよ
さらさらと
握れば指のあひだより落つ」
と歌った
石川啄木の
この歌を想い出す。
★ 11月2日 月曜日
昔の歌を、今聞くと、
全く新しいとらえ方となって
生き生きとよみがえってくることがある。
山本コータローが歌っていた「岬めぐり」
1974年リリースというから46年前の歌。
当時は、若者の失恋ソングと思っていた。
が、今聞くと、
なぜか、長年連れ添った相手が亡くなり、
果たせなかった岬めぐりをし、
「悲しみ深く 胸に沈めたら、
この旅終えて 街に帰ろう」
という切実な響きとなって
よみがえり、
涙がにじんでくる。
名曲は、その時だけのものでなく、
時の流れを越えて
人の心を打つ。