なにか、夜響に得体の知れない恐怖のような感覚をおぼえる恵美であった。
夜響が、恵美と二人の女の間に割って入った。まるで、恵美を守るかのように。
「あら・・・。ナイトの登場だったみたいね。」
メグが、口元をニヤリとさせた。しかし、目が鋭さをましている。
闇の中から、獲物をねらう肉食獣の目にも似ていた。
気のせいか、辺りが暗くなったような気がする、恵美であった。
自然に、恐怖感もましてくる。それは、太古の時代よりDNAの中に組み込まれた、闇にたいする感覚なのかもしれない。
日の下で生きる人にとって闇は、恐怖の象徴でもある。
そして今、夜響とメグが、闇を発していた。
「貴方、なぜここにいるの?。」
響夜が、一歩二人に近づいた。
メグが、明らかに緊張している。優位な立場にいるのは、響夜のようであった。
恵美は、響夜の背中をジッと見つめていた。そして、もう二度と平凡な日常に変えることが出来ないような気がしていた。今自分は、人が知らない世界へと巻き込まれたと、感じていた。
”怖い”
当然の、感情である。
闇を発する人とは、いったいどんな存在なのか。当然、恵美には理解できない。
「ここは、俺が居るべき場所。」
響夜の、冷たい声であった。メグは、黙っている。
焦れったくなったか、エリンがメグの前に出てきた。メグは、動かない。
「何が、居るべき場所よ。お前、邪魔なのよ。」
エリンが、響夜を見下したように言う。すこし、苛ついているのが解るような声であった。
響夜が、視線をエリンに移した。しばし見つめてから、メグに視線を戻した。
「神食いか。」
メグが、少し驚いたような表情を作った。エリンは、愕然としている。
「貴方、本当に人間?。この子を、見破るなんて。」
「神食いが、人を喰らうか。」
夜響が、エリンを睨み付けた。
エリンが、怒りをあらわにしだす。今にも、飛びかかりそうである。
「エリン!。やめなさい。」
メグの一言で、エリンが恐怖の表情を作った。メグの言葉は、絶対なのであろう。
「私で貴方を、殺せる?。」
単刀直入な、質問である。メグの表情は、至って真面目であった。本気で、聞いているようである。
「試してみるがいい。」
夜響が、また一歩前に出る。
夜響は、やるきであった。空気が、いちだんと冷たく闇色に染まっていく。
恵美は、ここにいてはいけないと、本能で感じていた。
恵美は今、二度と変えることの出来ない世界へと、脚を踏み込んでしまったのである。