小説みたいなもの(短編)--祈り願われるだけの者--その5 | ひでごんの独り言&小説みたいなもの

ひでごんの独り言&小説みたいなもの

何か気ままに
書いていこうと思います。

 メグが、恵美めがけて歩き出した。そして、すぐ側に立ち止まり、大きな木を見上げた。
恵美には、用が無いようである。恵美が慌てて立ち上がり、響夜の前に移動した。
 恵美はこの女に、恐怖に似た感情を抱いた。なぜだか解らない。
しかし、恵美の脳の一番深い所から、危険を知らせるシグナルが出ていた。
 恵美は、二人をジッと見つめた。普通の、女性にしか見えない。
 常識とは全く関係ない、動物としての本能が危険を知らせていた。
 「ねぇメグ、お腹すいたよ。まだ、ダメなの。」
 「そうね。でも、まだダメ。」
 二人は、木を眺めたままである。
 木がざわめいている。
恵美は、そんな感じをうけた。
 いつの間にか、心地よい風も、鳥たちのさえずりも止んでいた。
それなのに木が、ざわめいている。
 この場所そのものが、恐怖心をいだいている。恵美は、そんな気がした。
 しかしながら、響夜だけは、かやの外であった。
 恵美は、響夜に視線を移した。相変わらず、読書中である。
 「でも人間が一人。」
 メグの、声であった。
恵美が、二人に視線を戻した。二人は、いつの間にか恵美の方を見ている。
メグは、無表情に。エリンは、ゾッとするような笑みをうかべていた。
エリンが、静かに恵美めがけて歩き出した。恵美は、恐怖にとらわれた。
体が、動かない。得体の知れない恐怖が、恵美の体を支配していた。
 ”いや!。助けて、神様。”
 恵美の目から、涙があふれ出した。恐怖のせいである。
 ”神様。お願い。・・・、助けてください。”
 エリンの目が、紅く怪しい光を帯び始めた。
そしてその表情は、笑っていた。冗談を言う、笑いでわない。
絶対的優位者がみせる、それに似ていた。
 エリンが、恵美の目の前までやってきて、立ち止まった。
 ”神様・・・。”
 「無駄なお願いするな。」
 響夜が、立ち上がりながら言った。
 同時に、両極な事が起きた。恵美の表情が、絶望から希望へと変わった。響夜がいてくれる。
 そしてエリンの表情も、一変した。
優位的表情から、恐怖へと変わった。同時に、5メートルの距離を素早く後退した。
 「いつから居たの?」
 メグの、冷静な声であった。エリンは、まだ恐怖の色が残っている。が、エリンの声で、少しずつ表情は戻り始めているようであった。
 「凄いわね。全く、気づかなかったわ。」
 メグは、特に驚いた様子も無く、響夜に話しかけている。その落ち着いた様子を見て、エリンはすっかり落ち着きを取り戻していた。
 「驚かさないでよ。まったく・・・。」
 エリンが、悪態を付き始めた。その表情からは、余裕すら見える。
 「俺は、ずっとここにいた。」
 響夜が、二人の方へと体を向けた。
 恵美が、ちらっと響夜の顔を見た。冷たい瞳であった。
恵美の頭の中に、またあの言葉が浮かんだ。
 闇を統べる者。




やっとタイトルが決まりました(;^_^A
「祈り願われるだけの者」
これからも、宜しくお願いいたします(‐^▽^‐)