メグが、恵美めがけて歩き出した。そして、すぐ側に立ち止まり、大きな木を見上げた。
恵美には、用が無いようである。恵美が慌てて立ち上がり、響夜の前に移動した。
恵美はこの女に、恐怖に似た感情を抱いた。なぜだか解らない。
しかし、恵美の脳の一番深い所から、危険を知らせるシグナルが出ていた。
恵美は、二人をジッと見つめた。普通の、女性にしか見えない。
常識とは全く関係ない、動物としての本能が危険を知らせていた。
「ねぇメグ、お腹すいたよ。まだ、ダメなの。」
「そうね。でも、まだダメ。」
二人は、木を眺めたままである。
木がざわめいている。
恵美は、そんな感じをうけた。
いつの間にか、心地よい風も、鳥たちのさえずりも止んでいた。
それなのに木が、ざわめいている。
この場所そのものが、恐怖心をいだいている。恵美は、そんな気がした。
しかしながら、響夜だけは、かやの外であった。
恵美は、響夜に視線を移した。相変わらず、読書中である。
「でも人間が一人。」
メグの、声であった。
恵美が、二人に視線を戻した。二人は、いつの間にか恵美の方を見ている。
メグは、無表情に。エリンは、ゾッとするような笑みをうかべていた。
エリンが、静かに恵美めがけて歩き出した。恵美は、恐怖にとらわれた。
体が、動かない。得体の知れない恐怖が、恵美の体を支配していた。
”いや!。助けて、神様。”
恵美の目から、涙があふれ出した。恐怖のせいである。
”神様。お願い。・・・、助けてください。”
エリンの目が、紅く怪しい光を帯び始めた。
そしてその表情は、笑っていた。冗談を言う、笑いでわない。
絶対的優位者がみせる、それに似ていた。
エリンが、恵美の目の前までやってきて、立ち止まった。
”神様・・・。”
「無駄なお願いするな。」
響夜が、立ち上がりながら言った。
同時に、両極な事が起きた。恵美の表情が、絶望から希望へと変わった。響夜がいてくれる。
そしてエリンの表情も、一変した。
優位的表情から、恐怖へと変わった。同時に、5メートルの距離を素早く後退した。
「いつから居たの?」
メグの、冷静な声であった。エリンは、まだ恐怖の色が残っている。が、エリンの声で、少しずつ表情は戻り始めているようであった。
「凄いわね。全く、気づかなかったわ。」
メグは、特に驚いた様子も無く、響夜に話しかけている。その落ち着いた様子を見て、エリンはすっかり落ち着きを取り戻していた。
「驚かさないでよ。まったく・・・。」
エリンが、悪態を付き始めた。その表情からは、余裕すら見える。
「俺は、ずっとここにいた。」
響夜が、二人の方へと体を向けた。
恵美が、ちらっと響夜の顔を見た。冷たい瞳であった。
恵美の頭の中に、またあの言葉が浮かんだ。
闇を統べる者。
やっとタイトルが決まりました(;^_^A
「祈り願われるだけの者」
これからも、宜しくお願いいたします(‐^▽^‐)