千ベロの聖地「立石」物語 もつ焼きと下町ハイボール 谷口栄

この人は葛飾区で学芸員を務め考古学者として発掘調査をやっている

そして東京の東部「立石」で生まれ育った

 

立石は居酒屋が多く、普通ハイボールはウイスキーを炭酸で割るが、ここでは焼酎を炭酸で割る

焼き鳥ではなく、豚の内臓のもつ焼きを出す

作者は子どもの頃からもつ焼きを買いに行かされたり

飲みに行ったまま帰って来ない父親を捜しに行かされた

 

立石と言うのは古い文学好きには永井荷風の墨東奇譚が書かれたあたりだ

墨東奇譚は日本一の美女と呼ばれた山本富士子が娼婦を演じた

 

娼婦と言っても、一階が居間で二階に客を取る

売春防止法が施行された時から娼婦はいなくなったが

立石の飲み屋街は娼婦の町の名残なのだろう

 

ここでは焼き鳥の代わりに豚のモツを焼いたモツ焼を出し焼酎ハイボールで食べる

おしゃべりなどをしてると外で客が行列しているから店主に早く出ていけと怒られる

 

千ベロと言うのは呑兵衛しか知らない隠語だが

千円でべろべろに酔うと言う意味である

焼酎の炭酸割りを三杯飲み、もつ焼きを二本食べると普通の人はべろべろになる

 

谷口さんは若いころ焼酎の炭酸割りを八杯飲んだら腰が抜けて立てなくなったことがある

 

皇居から西側に住む人は新宿や阿佐ヶ谷や吉祥寺は知っていても立石は知らない

しかし知らぬが花で変な冒険心を起こしてはいけない

 

それから本の中の写真で、飲み屋で飲んでいる客の中に女性は一人もいない

間違ってもガールフレンドなど連れて行ってはいけない

勿論私も立石を通過したことはあるが下車したことはない