慰安婦の強制連行はあったか?(いあんふ

周知のように賛否両論がある

先ず「強制連行はなかった」という意見

「河野氏は、日本軍は慰安婦の強制連行を行ったのだが、そのような都合の悪い文書は終戦の日に焼却処分してしまったに違いないと勝手に思い込んでいた。略

これが公文書をチェックせず、慰安婦とされる女性たちの話をファクト・チェックを一切せず聞いて、事実であろうという「心証」をもち、それをもとに河野談話を出してしまった理由だろう。略

 

 この結論が間違っていることは、『政府調査「従軍慰安婦」関係資料集成』を読めばわかる。92年以降、このような慰安婦問題に取り組む過程で、日本政府は膨大な公文書を集めて実態を調査した。その成果がこの資料集だ。

 

 それらの中には、慰安婦になる女性と親権者が雇用主との間に交わした契約書の雛形がある。また、慰安婦が海外渡航する際、くれぐれも人身売買とか詐欺とかがないように、官憲に慰安婦の契約書や合意書のチェックを厳密にするよう命じた文書もある。さらには、慰安婦を慰安所に迎えるにあたり、これらの文書を保持しているかどうかを現地司令官が厳しくチェックし、保持しない場合は受け入れを拒否するよう厳命した文書もある。

 

 これらの文書を読めば、強制連行を命じた文書がないのは、焼却処分したからではなく、そのような事実自体がなかったからだ、日本軍は雇用主との間に合意契約を交わした女性だけを慰安婦として受け入れていたのだ、という結論にたどり着いたはずだ。」有馬哲夫(ありまてつお)早稲田大学教授

 

「93年2月、「韓国挺身隊問題対策協議会」は、元慰安婦約40人のうち「信憑性(しんぴょうせい)に自信が持てる」(鄭鎮星〈チョンジンソン〉)・挺身隊研究会会長)19人の聞き取りを編んだ証言集を刊行。「軍人や軍属らによる暴力」があったと語ったのは4人で、多くは民間業者が甘い言葉で誘ったり、だまして連れて行ったりする誘拐との内容だった

 

 慰安婦たちは、徴集の形にかかわらず、戦場で軍隊のために自由を奪われて性行為を強いられ、暴力や爆撃におびえ性病や不妊などの後遺症に苦しんだ経験を語っていた

 

次は「強制連行」はなかったが「強制性があった」とする意見

 93年8月に発表された宮沢政権の河野洋平官房長官談話(河野談話)は、「慰安所の生活は強制的な状況で痛ましいものだった」「募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた」と認めた。関係省庁や米国立公文書館などで日本政府が行った調査では、朝鮮半島では軍の意思で組織的に有形力の行使が行われるといった「狭い意味の強制連行」は確認されなかったといい、談話は「強制連行」ではなく、戦場の慰安所で自由意思を奪われた「強制性」を問題とした

朝日新聞

 

早大教授は、公文書を精査した結果「「強制連行」を命じた文章はなく「合意契約」を行った」とする

朝日新聞は「慰安婦の証言に基づき、「「強制連行」は確認されなかったが、戦場の慰安所で自由意思を奪われ性行為を強制された「強制」性が問題であった」とする

 

両者は資料が違う

早大教授は、「強制連行を命じた公文書がない」と言うが、性行為を強制した事実がないとは言っていない

これは、日本の歴史学者に通底する研究方法で、「文書にないものはない」とする

しかし、悪事は文書に残さないもので、自民党が裏金を作れと命じた公文書を残すわけはない

 

朝日新聞は慰安婦の証言に基づき、「強制連行はなかったが性行為を強制した」と論じている

早大教授も朝日も「強制連行はなかった」と言うが

朝日だけが慰安婦の証言に基づき「性行為を強制された」と論じているのだから朝日新聞の勝ちである

 

つまり、「無理やり慰安婦を強制連行した事実はなかったが、性行為は強制した」ということになる

 

河野談話に立ち返ろう

「河野談話によると、慰安所は「当時の軍当局の要請により設営された」もので、「慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した」ということです。

 

 また慰安婦の募集については、「軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり」「官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった」と述べています。」

 

河野は「強制連行があった」とは言っておらず、「強制的な性格があった」と言っているのだから、政府は河野談話を否定してはいけない