漱石山房記念館

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漱石の家の復元模型があり

毎週木曜日、弟子たちが集った様子がよくわかる

しかし、数十人の弟子たちを毎週集めて料理や酒を出す必要があっただろうか

漱石は中学の教師もやったが根っから教えることが好きだったのだろう

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しかしこの会を提唱した児童文学者鈴木三重吉は

極度の酒乱でだれかれ構わずからみ殴り合いになることもある

或いは漱石のいらいらを代表しているつもりだったのかもしれない

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漱石は複雑な精神病を患い

弟子たちには優しいが家族に激怒する

別居した時期もある

重い被害妄想は英国留学中に起きる

勉強しても勉強しても英文学がわからない

それは日本人には当たり前で悩むようなことではない

原因は漱石が養子に出されてまた戻ると言うような

今流行りの愛着障がい、つまり親から愛されない症候群にある

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神経症の治癒も兼ねて書きだした小説

吾輩は猫であるが大ヒットして学者はやめてしまう

東大教授になるのを辞退して当時は小さかった朝日新聞に雇われる

ユーモアのセンスが発揮されたのが坊ちゃん

恋愛小説が三四郎や虞美人草だがプラトニックラブだ

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それからどんどん暗くなり

最晩年の「こころ」は暗黒の極だ

長い間高校教科書に載っていたのは国語教師が暗いのが好きだからだ

私はこころは大嫌い、坊ちゃんが大好きだ

漱石は一言で言えばエンターテイナー、楽しませる名人だ

木曜会でも弟子たちにサービスしたのだろう

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「私の個人主義」を何回読んだかわからない

漱石は、他人本位をやめて自己本位に変えたら生きやすくなった

学者から小説家に転じたのもそれだ

坊ちゃんはその典型像だ

しかしそうわかっていても木曜会は死ぬまで続け

義務的な朝日新聞の小説も書き続けた

被害妄想も胃潰瘍も治るわけがない

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朝日新聞などに使われてはいけない

二三年海の見える温泉別荘に行き、面会謝絶して

何も書かなければ49歳で死ぬことはなかったろう

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私の文学遍歴は漱石から始まっている

そろそろ猫を読み返してみよう

そうそう大事なことを忘れていた

夏目漱石が作家として活躍した11年間は

日露戦争に始まり、社会主義者を罪もなく死刑にした大逆事件を経て

南洋諸島占領、対華二十一か条とまさに戦争の泥沼に突進するさ中だった

敏感な漱石がこの暗さに気づかぬわけがなく

「私の個人主義」には金権主義や国家主義に対する批判が強く表れている

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漱石の文章の凄さは、古文、漢文、英文で鍛えられたものだから

本当にわかるにはそれらの教養が必要だ

しかしそんな教養はなくても、小学校高学年以上には坊ちゃんをお勧めする

そして教師は真剣に今の学校とどこが違うか考えてほしい

実は全く変わっていないのだ

それから「私の個人主義」を読んで今の文科省の政策を評価してほしい

自己本位のふりをして他人本位だけを押し付けている

日本政府を評価すれば、自己本位のかけらも許さず他人本位の奴隷にしていることがわかる

コロナ危機ですべてが崩壊すれば、自己本位に立ち返る絶好の機会なのだが他人本位を徹底する絶好の機会だと独裁者は思っているだろう

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