なぜリードアラウドばかり紹介するか
 
きのうのブログに書いたようにブッククラブの基本はリーディングログに書かせて、書いたことをもとに子供たちだけでディスカッションすることです。
 
しかしこんなことが簡単にできるでしょうか?アメリカ人でも簡単にできませんから、リーディングログに書く幾つかの読みのストラテジーを一つずつ練習していきます。読みのストラテジーとはきのうのブログに書いた要約とか視覚化とか予測と言った読むための学習法です。
 
一通り全部のストラテジーができるようになるとレスポンス・チョイス・シートという紙を渡して、例えばこの中から三つ選んでログに書きなさいと指示します。例えばたろうくんは、予測と要約と視覚化を選んで書きますがはなこさんは友だちへの質問、私の人生との関係、作家の表現技術などを選びます。
 
タフィー・ラファエルのブッククラブでは、みんな違う読みのストラテジーを選ぶように指導します。こうやって人と違う独自なやり方をする個性をアメリカ人は育てていくのです。ここがワークシートに全員同じ課題を書かせる日本人と大きく違うところです。
 
これは日本人にはとてもむずかしいことなので私はいままでリードアラウドのやり方ばかり紹介してきました。リードアラウドとは教師が絵本を読みながら質問していくやり方です。これも質問の仕方が日本人とまったく違うので私たちが学ぶことがたくさんあるのです。
 
さて、リーディングログは日本人にはむずかしい。リードアラウドもむずかしいがリードアラウドばかりやっているとブッククラブの中核になるリーディングログの学習ができません。
 
ブッククラブの中核はリーディングログを書いて、そのノートを見ながらみんなが自由にブッククラブディスカッションをやることなのです。日本の教室で子供たちだけでこういうディスカッションができるクラスは稀でしょう。
 
そこで、リードアラウドを簡単にやった後で、リーディングログの読みのストラテジーを一つだけやってみましょう。子どもになったつもりでつきあってください。予測の問いがほとんどですからそのときは先を読まないで考えてください。
 
今日は、リードアラウドの問いも「予測」という読みのストラテジーに集中します。
 
なぜ予測させるか
1.今まで読んだところをよく読んで正しく理解していないと予測できない。
2.予測することが楽しくわくわくして作品に対する読む意欲をかきたてる。
3.よい読者は絶えず予測しながら読んでいる。
 
予測するときは、間違うことを心配しないように子どもに話します。
予測があたるかどうかが大事なのではなく考えることが大事なのだと話しましょう。
そして読みながら予測を修正していきます。
 
○が教師の質問です。

木の祭り

○どんなお話だと思う?

新美南吉

 木に白い美しい花がいっぱいさきました。木は自分のすがたがこんなに美しくなったので、うれしくてたまりません。けれどだれひとり、「美しいなあ」とほめてくれるものがないのでつまらないと思いました。木はめったに人のとおらない緑の野原のまんなかにぽつんと立っていたのであります。
 
○この木はどうなると思う?ずっと寂しいままかなあ?

 やわらかな風が木のすぐそばをとおって流れていきました。その風に木の花のにおいがふんわりのっていきました。においは小川をわたって麦畑をこえて、 崖 ( がけ ) っぷちをすべりおりて流れていきました。そしてとうとうちょうちょうがたくさんいるじゃがいも畑まで、流れてきました。
「おや」とじゃがいもの葉の上にとまっていた一ぴきのちょうが 鼻 ( はな ) をうごかしていいました。「なんてよいにおいでしょう、ああうっとりしてしまう。」
 
○このちょうはこれからどうするでしょう?

「どこかで花がさいたのですね。」と、 別 ( べつ ) の葉にとまっていたちょうがいいました。「きっと原っぱのまんなかのあの木に花がさいたのですよ。」
 それからつぎつぎと、じゃがいも畑にいたちょうちょうは風にのってきたこころよいにおいに気がついて、「おや」「おや」といったのでありました。
 ちょうちょうは花のにおいがとてもすきでしたので、こんなによいにおいがしてくるのに、それをうっちゃっておくわけにはまいりません。そこでちょうちょうたちはみんなでそうだんをして、木のところへやっていくことにきめました。そして木のためにみんなで 祭 ( まつ ) りをしてあげようということになりました。
 
○どんな祭りをするでしょうか?

 そこではねにもようのあるいちばん大きなちょうちょうを先にして、白いのや黄色いのや、かれた木の葉みたいなのや、小さな小さなしじみみたいなのや、いろいろなちょうちょうがにおいの流れてくる方へひらひらと飛んでいきました。 崖 ( がけ ) っぷちをのぼって麦畑をこえて、小川をわたって飛んでいきました。
 ところが中でいちばん小さかったしじみちょうははねがあまりつよくなかったので、小川のふちで休まなければなりませんでした。しじみちょうが小川のふちの 水草 ( みずくさ ) の葉にとまってやすんでいますと、となりの葉のうらにみたことのない虫が一ぴきうつらうつらしていることに気がつきました。
「あなたはだあれ。」としじみちょうがききました。
「ほたるです。」とその虫は 眼 ( め ) をさまして答えました。
「原っぱのまんなかの木さんのところでお 祭 ( まつ ) りがありますよ。あなたもいらっしゃい。」としじみちょうがさそいました。
 
○なぜしじみちょうはほたるをさそったのですか?
 
○ほたるはどうするでしょうか?
 
ほたるが、
「でも、 私 ( わたし ) は夜の虫だから、みんなが 仲間 ( なかま ) にしてくれないでしょう。」といいました。
 
○しじみちょうはほたるになんと言うでしょうか?
 
しじみちょうは、
「そんなことはありません。」といって、いろいろにすすめて、とうとうほたるをつれていきました。
 なんて楽しいお 祭 ( まつ ) りでしょう。ちょうちょうたちは木のまわりを大きなぼたん雪のようにとびまわって、つかれると白い花にとまり、おいしい 蜜 ( みつ ) をお 腹 ( なか ) いっぱいごちそうになるのでありました。けれど光がうすくなって夕方になってしまいました。みんなは、
「もっと遊んでいたい。だけどもうじきまっ 暗 ( くら ) になるから。」とためいきをつきました。
 
○これからどうなるでしょう?
 
するとほたるは小川のふちへとんでいって、自分の 仲間 ( なかま ) をどっさりつれてきました。一つ一つのほたるが一つ一つの花の中にとまりました。まるで小さいちょうちんが木にいっぱいともされたようなぐあいでした。そこでちょうちょうたちはたいへんよろこんで夜おそくまで遊びました。
 
今日やる読みのストラテジーは視点を変えるストラテジーです。
つぎのみっつの問いの中から一つを選んでリーディングログに書いてみましょう。
 
1 白い美しい花がさいた木になったつもりになってこのお話を書き直してみましょう。
  わたしは白い美しい花がさいた木です。から書き始めましょう。
2 ほたるをさそった小さなしじみちょうになったつもりになってこのお話を書き直してみましょう。
  わたしはほたるをさそった小さなしじみちょうです。から書き始めましょう。
3 しじみちょうにさそわれたほたるになったつもりになってこのお話を書き直してみましょう。
  わたしはしじみちょうにさそわれたほたるです。から書き始めましょう。
 
書き終わったら、書いたリーディングログを持ってブッククラブのグループに集まりましょう。
どんなことを書いたか一人ずつ発表しましょう。
発表を聞いたら質問をしましょう。
質問されたら答えましょう。
みんなの発表のよいところをみつけて話し合いましょう。
 
やさしいようでけっこうむずかしいです。おためしください。小学生から大人まで楽しめます。