ここ数日、衆議院の解散総選挙が取り沙汰されています。
そうした報道の中で、現在の高市政権が非常に高い支持率を保っている、という話題をよく目にします。その空気を見ていて、僕がふと思い出したのが安倍政権のことでした。
安倍政権については、「もりかけ問題」や「政治とカネ」など、マスコミでさまざまな批判が繰り返されてきました。
一方で、保守層を中心に、ネット上では安倍政権を強く支持し、時に神格化するような空気が生まれていたのも事実だと思います。マスコミでは叩かれ、ネットでは持ち上げられる。そうした分断された評価の中で、安倍政権は結果として歴代最長政権となり、選挙にも勝ち続け、一定の支持を保っていました。
もう一つ、安倍政権の時期を通じて作られた空気として、「マスコミが言うことは間違っているのではないか」という感覚が、社会全体に広がったことも大きかったと思います。
実際、マスコミの報道と現実の体感が噛み合わない場面が重なり、その反動として、「マスコミが叩いているなら、むしろ正しいのではないか」という見方が、特にネットを中心に定着していきました。
しかも、その影響力は当時よりもさらに広がっているようにも感じます。かつては若年層を中心とするネット世代の感覚だったものが、今では高齢層の間でも、「テレビの言うことはそのまま信じられない」といった意識として共有され始めているように思います。その結果、本来は個別に検証されるべき政策や判断まで、「マスコミがどう言っているか」を基準に評価される傾向が、以前より強まっているのではないでしょうか。
僕自身は、安倍政権を特別に優れた政権だったとは思っていません。
ただ、正直に言えば、「全然マシだった」とは思っています。その理由は、安倍政権が飛び抜けて優れていたからというよりも、その前の悪夢の民主党政権の体感的ダメージが、あまりにも大きかったからです。
外交、経済、危機対応の場面で、「もうこれ以上ひどい政権は来ないだろう」と感じた人は少なくなかったと思います。
ところが、その「底」だと思われていた悪夢の民主党政権ですが、そのワースト具合を岸田政権があっさり更新、続く石破政権の、はるかにその上(下?)をいくひどさに国民はドギモを抜かれ、ある意味まだ混乱したままと思います。つまり「これ以上ひどいことはない」と思われていたラインが、下に引き下げられたように感じられたのです。
だからこそ、そのあとに登場した高市政権が、「前よりマシ」「これなら耐えられる」という相対評価の中で受け止められているように見える。その構図が、かつて安倍政権が受け入れられていった過程と、どうしても重なって見えてしまいます。
そう考えると、現在の支持率が高いうちに選挙を行ってしまおう、という判断があっても不思議ではないようにも感じます。支持が固まっている間に一度リセットをかけ、その後は大きな反発を受けにくい形で、じわじわと構造を動かしていく。そんな意図が透けて見える気がするのは、僕だけでしょうか。
実際に頑張ってくれているところもありますが、よく見てみると、多くの国民が一番望んでいるところには、あまり踏み込んでいないようにも見えます。
恒久的な減税、移民の総量管理、国民負担の根本的な整理といった点です。触れていないというより、状況はむしろ悪化していると感じる人もいるのではないでしょうか。
僕が一番気になっているのは、国民が混乱している間に、取り返しのつかない段階まで進んでしまわないかという点です。
前回つまり安倍政権のときは、まだ余力がありました。今回は、人口も国力も時間も、あまり残っていません。同じやり方を繰り返したとき、同じ結果で済むのかどうか。そこだけが、どうしても引っかかります。
高市さん頑張っていると思うしオールド野党もマスコミも信用できないのも同意ですが、また踊らされてるんじゃないかなとも思ったのでした。
「また相対評価だけで判断させられていないか」という問いを置いているだけです。違うと思う人がいても構いません。ただ、この違和感を今の段階で残しておきたいと思いました。