おはようございますこんにちは。

今更ですがとんでもない名作が邦画にあることを知りました。

ありがとうよ、Amazonプライムさん。(軽っ)

 

 

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完璧にノーマークだった「愚行禄」。


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<STORY>

エリートサラリーマンの夫、美人で完璧な妻、そして可愛い一人娘の田向(たこう)一家。

絵に描いたように幸せな家族を襲った一家惨殺事件は迷宮入りしたまま一年が過ぎた。週刊誌の記者である田中(妻夫木 聡)は、改めて事件の真相に迫ろうと取材を開始する。

殺害された夫・田向(たこう)浩樹 (小出恵介) の会社同僚の渡辺正人(眞島秀和) 。 

妻・友希恵 (松本若菜) の大学同期であった宮村淳子 (臼田あさ美) 。 その淳子の恋人であった尾形孝之 (中村倫也) 。そして、大学時代の浩樹と付き合っていた稲村恵美 (市川由衣) 。
ところが、関係者たちの証言から浮かび上がってきたのは、理想的と思われた夫婦の見た目からはかけ離れた実像、そして、証言者たち自らの思いもよらない姿であった。
その一方で、田中も問題を抱えている。
妹の光子 (満島ひかり) が育児放棄の疑いで逮捕されていたのだ――。

 

 

※以下強烈なネタバレぶっこんでいきますのでお気をつけて。

 

 

 

 

見終わった感想は、とにかく気色悪かった。

ねっとりとしつこく絡みつくような・・・・言い表しようのない湿度を含んだドロドロとした不快感。

照明もカメラワークもいい意味でとても気味が悪い。

一言で表すと人間の深層心理、醜い本性をおどろおどろしく網羅したホラー映画でした。

正直、昨今で話題だったパラサイトより全然怖くて全然面白かった。なんでこんな名作、誰も教えてくれなかったの・・・・

 

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特記すべきは頼むから一生共演しててくれ、と言いたくなるぐらいの最高のコンビ。

妻夫木くんは20代の頃、アイドル的な人気でしたがこの甘いマスクでキチガイ的な役をさせたら天才です。※「渇き」参照

満島ひかりさんに関してはもう皆さんご存じであろう実力派。

ちょっと見た目が貧相なのでどうしてもセレブリティな役よりも庶民から野心で成り上がったりとか意地悪な役が似合う。嫌な役を演じてもどこか憎めないハキハキ感が彼女の魅力だな、と私は思う。正直へたくそな女優と共演しまくって、どんどんいてこましてやってくれや、っていつも思う(やめなさいよ)

ドラマ「Woman」で田中裕子さんとの母娘役での共演は最高すぎました。私は田中裕子さんが子供の頃から好きなのです。
 

妻夫木くん演じる田中は冒頭でバスに乗っており

いきなり初老のおっさんからお年寄りに席を譲ってやれ、と威圧的に言われるんです。

そうしてお婆さんに席を譲るわけなんだけど田中は健常者なのに障害のあるフリをして譲られたお婆さんと譲れと強要したおっさんに罪悪感を与えるんです。

この時点でもう面白くないわけがないんですよ。とんでもない映画が始まるぞ・・・とワクワクが止まらない。

田中は週刊誌の記者で一年前の一家惨殺事件の被害者の友人にインタビューをしていく。

そのインタビューに答える人たちがサイコパス並みに「あたおか」なんです。

 

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殺された一家の主は一晩で5発可な顔面性欲マシーン小出恵介。

この顔面性欲っぷり(打ち消し線なしかよw)が、とってもこの役にハマってて、演技もすごく良かったんですよ~。

利己的な性格イェイ!から始まる軽薄、厭らしさ。

この映画の小出恵介は本当にすごくよかったな。顔面に性欲(特に白目の水分量とか)が存分に押し出されてて(まだゆう)。

ちなみに作者の貫井氏は早稲田出身。

この映画の内容自体が早慶をモデルにしているらしく?

内部生と外部生とのカーストとヒエラルキーが混在している・・・複雑ではないだろうけど汚らしい人間模様を描いたもの。

早稲田出身の作者(外部生)が慶応のカースト&ヒエラルキーを描く、って面白いですよね。

ちなみに監督は「蜜蜂と遠雷」の石川監督です。

撮影監督はポーランドの方で有名な方らしく・・・・・だから新鮮に感じたのか~と思ったり。

小出恵介って慶応出身だしw

 

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ブレイク前の中村倫也。臼田あさ美とは大学時代の恋人役です。

 

そして眞島さん。

小出恵介演じる一家惨殺された田向の友人役で、田中から生前の田向のことをインタビューされるんですが眞島さん演じる渡辺が超ゴミ。

ある日

田向がブレイク前の松本まりか演じる山本さんと酒の席でいなくなり、やっちゃうわけです。

で、付き合うのかと思えばやるだけやって「初めて会ってやっちゃう女は俺は嫌だ」と抜かす田向。

はい、またゴミ。(これを小出恵介が劇中で言うのが面白くて笑いが出そうだった)

ちなみに田向は二股やら、やり逃げする割には将来理想の家庭を築きたいそうです。

後に

嫁のせいでとばっちりを受けて一緒に殺されるわけだけど、結果的にざまあwとか思ってしまった。

そもそも怨恨で殺されてもおかしくない嫁をもらったアンタも同類だろ?とも。

 

で、やり逃げ終了の山本さんを追い払いたいために、渡辺が松本まりかを誘惑してやっちゃうわけです。

男二人で一人の女をやって、捨てる。

まあ松本まりかもそういう系の女性の役を演じてるわけですからどっちもどっちなのがポイント。(そのあとすぐ他の男と結婚)

松本まりかさんはやはり、いい女優さんだと私は思います。

 

でね、類は友を呼ぶのテンプレート状態の、ゲス男渡辺。

いくら友達の頼みとはいえ、女性を男友達同士で穴兄弟みたいな下世話なことやっといて、酒のつまみとして田向と笑い合ったりしてるの。

田中がインタビューするときに渡した名刺の上に平気でコースター代わりにお酒を置いたり・・・もう人間の薄っぺらさがにじみ出て、ゴミ。

で、挙句の果てに「あんないい奴(田向)が何で殺されないといけないんだ」って泣くの。

え、あんた頭だいじょうぶ?あんないい奴って誰?

精神鑑定受けたほうがいいんじゃない?と私はイライライライラ。

そこで田中が「大丈夫ですか」って声をかけるんだけど

私は田中はきっと

「(そんな最低な奴をいい奴とか言って泣いてるアンタ頭)大丈夫ですか」って言ったのだと思う。

 

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田向の大学時代の恋人、稲村(市川由衣)。

田向の「自分が良い生活を送るために人を利用するのが何故いけないんだ」という豪語に共感してるあたりが気持ち悪くて仕方なかった。

よほどベッドでいい思いさせてもらったのあんた?って思ったよほんと。やたらデカ乳を強調してるし。

なんだろ、田向&稲村の関係性は最高級に下世話な風味が漂いまくってて、見ててとても不愉快だった。よもや、みてるだけで公然わいせつ的な関係性。

稲村は田中からのインタビューの時に赤ちゃんを連れてくるんですがまるでそれが田向の子供であるかのようなニュアンスも含めてくるんですよ。

いやいやいやいや

稲村みたいな女なら旦那以外の田向以外のほかの男の子供も孕みかねないだろwとツッコミを入れたくなるのはきっと観てる側として正解な気がする。

 

さて、メインとなる夏原さん。

田向の妻となり子供と一緒に殺されるわけですが

夏原さんが恐怖に怯えながら殺害されるシーンをちゃんと見たかったな、と思わせてくれる役でした。

外部生でありながらその美貌で内部生との軍団へと出世し、外部生からの憧れの的となります。

光子(満島ひかり)や宮村(臼田あさ美)も例外ではなく

夏原は内部生に取り入るため光子を利用し、内部生に肉体を提供させます。(ひと晩限り)
宮村の彼氏である尾形(中村倫也)も奪います。

この夏原って女は昼間は淑女、夜は娼婦みたいな寝技つかったんじゃね~のwと私も下品な妄想が止まらない。

 

またね、尾形も本当に男ってバカ。果てしなくバカよね、の典型。

結局

顔がよくてお嬢様が好きなだけだろうがよう、人間の薄さが露呈されるだけだから、きれいごと抜かすなwと言いたくなる。

元カレ元カノ同士で揃いも揃って証言が食い違うのも気持ち悪かったなあ。

別れた人を悪くしか言えないんなら最初から付き合うな(お前もな)。
 

みんな言ってることとやってることが気持ち悪い。

「気持ち悪い」のオンパレード。制限なし、確変パーリー。

 

でも、個人的に夏原さんが殺されるシーンみたかった。

↑こう思う私の感情が、まさに「気持ち悪い」のですよ。

自分のおどろおどろしい感情を投影しながら見るから余計に気味が悪いのだろうな。

まさに、その感情そのものが自身の「愚行」。

 

 

光子は自分の子を結果的に餓死させるわけですが

とある「告白」をします。

とにかくそのシーンがどこに目線があるのか無機質さが怖すぎてたまらないので必見です。

 

 

全部見終わって心臓がバクバクして寝れなかったです。まあすぐ寝たけどね(バカ)

※私はエクソシストやら見てても自然と眠くなるタイプです。

 

 


「悪人」よりも切なさはなく悪質で

「凶悪」ほど目をそむけたくなる描写はないが

「告白」よりも身近。

 

そんな映画でした。

 

お勧めはできないです(えw)