●ポイント
・競合企業が溢れている
・顧客が選択するのは、顧客を大切にしてくれる企業
・目先の利益では、持続が難しい
会社経営を行うとなると、それなりに「常識的な部分」というのは、あると思う。例えば、投資を行うには、それを越えるリターンを生まなければならないし、株式会社なら、名目上は株主に利益を還元しなければならないので、儲けなければならない。つまり利益を出さなければならない。
一方で、顧客思考という考え方があり、「全てはお客様のために」という発想がある。多くの会社はこれを掲げており、さらには、それと自社の利益を組み合わせた、win-winという関係を探している。もちろんビジネスが上手く回っていれば、これは理想的であるが、もし自社が儲からなくなって、バランスが崩れたらどうだろう。会社は、顧客思考など悠長なことは、言ってられなくなるのではなかろうか。現在のお金が回っていない不景気の状況は、まさにこうした悲劇を産み出している。
ところで、こうした景気の悪い中でも、利益を産み出している企業がある。そうした会社は、根本的に発想が違うのではないか、と思っている。それが「変わった」会社である。「変わった」いうのは、これまでの経営の常識を越えた、という意味で使っている。具体的には「経営者の理想しか考えていない」とか、「人を喜ばせるためだけに存在する」、という発想でできた会社だ。儲けは考えていない、いや、儲けは必要だが、それは継続できる資金を稼ぐ程度でよい。
有名どころなら、ディズニーランドとUSJの対比である。ディズニーランドの目的は、あくまで「夢の国の再現」にこだわっているため、アトラクションや舞台、衣装の細部まで手を抜かない。キャストの衣装も、一着いくらかかってるんだ、というくらいコストをかけている。ところが一方で、USJのそれは、やはりディズニーに比べると、しょぼく見えてしまう。経営視点で見れば、USJは正しいのだろうが、それでも顧客はディズニーランドを選択し、結果、収益があがっている。
今の世の中には、どの産業にしても、いくつかの企業が競合しているので、顧客は、そのいくつもある企業から、選択できる権利がある。では、顧客はどのような企業・サービスを選択するかと言うと、最も自分のことを考えてくれる(相手に損で自分に得がある、つまりお得感のある)企業を選択する。モノやサービスが、創れば売れる時代ならよかったが、今は顧客が選択する時代であることを、忘れてはいけない。
最近の急成長する海外のIT企業を見ても、その多くの企業は、最初はユーザーの利便性を出発点にしており、儲けは考えていない。Googleも最初はそうだったし、Facebookも永らく上場しなかったのは、株主から利益を出せと言われたくなかったからだ。こうした、本当の「顧客思考」という発想は、無料ビジネスも台頭してきた中、ますます重要なキーワードになる時代ではなかろうか。
