テクノロジは雇用を破壊しているのか?
雇用にとって、テクノロジの成長は味方か敵か、
という興味のある問いかけである。
テクノロジの成長によってもたらされたメリットといえば、
簡単にいくつも思いつくことができる。
テクノロジが発展することで、
新しい産業とビジネスが生まれる。
新しい産業が生まれれば、
経済が活性し雇用も創出される。
さらには、優れたテクノロジを導入することで、
多くの企業は赤字から黒字に変えることができた。
赤字から黒字に経営を好転できたなら、
倒産や解雇で路頭に迷う失業者も減る。
テクノロジの発展は、人々が望んできた結果である。
しかしそれとは裏腹に、テクノロジの発展によって、
多くの人的労働力は代替され、失われてきた。
利便性が上がったということは、
それまで面倒を引き受けていた人が、
要らなくなったということだ。
流通業では、情報と流通網が整うことで、
中抜きができるようになった。
機械の性能向上で、人手も減る。
「少ないコスト」で「大きな利益を生む」ということは、
(1番高い)人件費が削減されているということである。
テクノロジによって
上記のようなプラス面マイナス面はあるだろうが、
どちらが大きいのだろうか。
ここに一つの事実がある。
そこで、この10年で合衆国に起きているのは、
経済成長に、本来なら伴うはずの雇用の成長が伴わないことだ。
これまでは、生産性の向上と雇用の増加は二人三脚だったが、
今やそうではない。
2000年から2009年までの生産性の向上は年平均2.5%、
1960年代以降で最高だ。
しかし、この同じ10年に雇用の総数は1.1%減少した。
総計して、GDPは成長しているものの、
雇用数は下落している。
つまり、マイナス面の影響のほうが
強く表れている可能性がある。
(テクノロジのせいだけではないだろうが)
さらに、GDPの三面等価の分配面で考えたならば、
所得格差は広がっていると捉えることができる。
雇用数が減って国民総所得が増えているということは、
生産者の1人当りの再分配が大きくなっているというからだ。
これからはさらに、
新しいテクノロジを扱える人とそうでない人との、
差が広がっていきそうな気がしてならない。