夜の帳が降りた夕闇の中、
若田「前田敦子だな?」
前田「…はい。」
前田に手錠を掛け、連行する若田。
出て来るマジ女の面々。
警部補「良いダチを持ってるな。」
前田「…はい。」
後部座席のドアを開ける警部補。
前田を乗せたパトカーは、ゆっくり発車した。
立ち尽くし、見送る仲間達…ムクチ、おたべ、アニメ、尺、ヲタ、大歌舞伎、
小歌舞伎、アキチャ、学ラン、ネズミ、センター…

引き上げる矢場久根先代総長&先代ミギウデ達。
傷つけあっていたヤンキー同士が、何時しか傷ついた者を助け、支えあっていた。

大島姉妹、
シブヤ、トリゴヤ、サド、ブラック、ゲキカラ。

パトカーの中。
警部補「後悔してないか?」
前田「こんな世の中に生まれて来た以上、マジに生きなきゃ、申し訳ないですから。」
警部補「…………。」
真っ直ぐに見つめる前田。

シブヤ、トリゴヤ、サド、ブラック、ゲキカラ。
涙を溢すセンター。
「…前田ぁ。」
パーカーのフードを脱ぐネズミ。
ダンス、カムバック、まりやぎ、3色、まゆげ。
らぶたん、みゃお。
チョウコクも泣いていた。
そして、シブヤも…。

警部補「ダチの声が聞こえねぇだろ?」
前田を呼ぶ仲間達の声が聞こえてきた。
バンジー、大歌舞伎。
ライス、アキチャ、
学ラン「敦子、待ってるからなっ!」。
ウナギ、寒ブリ、
尺「前田~っ!」。
ツリ、
ダルマ「敦姉ぇ~っ!」。
年増、
小歌舞伎「前田!」。
おたべ「…まぇ…。」。
ネズミ。
涙で見送るセンター。
シブヤ。

前田の顔に微かに笑顔が戻り、ウインドー映る自分の顔を見上げていた。

END

現れた前田に、唖然とするシブヤ。
「前田ぁ…。」

前田が来た、と若田に顎で指図する警部補。

ブラック、
喜ぶトリゴヤ、
サド。

アヤカ「前川。」
ハルカ「前田だよ。」
まりやぎ&3色、
まゆげ&カムバック、
心配そうなダンス、
シブヤの口元が緩む。

「…前田ぁぁぁ!」
若田の突入を阻止する警部補。
「見てりゃぁ犯行の動機が判る。」

サド、おたべを筆頭に、新旧ラッパッパの精鋭を率いて、シブヤと対峙する前田。
前田「待たせたなぁ。」
シブヤ「お前はバカか。マッポが張り込む中…。」
前田は、屋外に待機する警部補に深々と一礼し、再びシブヤに対し、向き直った。
シブヤ「捕まるつもりで来たんだな?」
前田「罪は償わなきゃいけねぇさ。」
シブヤ「そこまでして…そこまでしてお前をマジにさせるものは何だ?」
前田「私もそれが知りたかった。ようやくわかったよ。」
シブヤ「教えてくれないか?」
前田「断る。人は各々、答えが違うからな。私は何のために生まれてきたか?…生きるって事は、その答えを探す事だ。」
シブヤ「前田…。」
5~6歩前へ歩み寄る前田。見守る警部補。
取り囲む矢場久根連合の兵隊達。
大島姉妹。
ゲキカラ、トリゴヤ&ブラック。
サド、センター&ダルマ。
「じゃあ、始めようか。」
沈黙したまま睨み合う二人。
その静寂を打ち破る、先代総長の罵声が響く。
「シブヤぁ!何してるぅ!前田をぶっ潰せぇ!」
左拳を固めるシブヤ。
まゆげ&カムバック。
まりやぎ&3色。
零れ落ちる涙…拳を弛め、シブヤは一瞬俯いた。
シブヤ「私の答えは…前田を倒す事だと思ってた。」
前田「シブヤ…。」
シブヤ「勝てねぇよ…お前には…。」
前田はゆっくり歩み寄り、シブヤの右肩を抱いた。
トリゴヤ、サド&ブラック、ゲキカラ、おたべ、まゆげ&カムバック、まりやぎ&3色、ダンス。
前田はポケットから自分の校章を取り出すと、シブヤの左手にそっと握らせた。
前田を見るシブヤ。
「私はしばらく休学だ。」
微かに頷くシブヤ。

そして、静かに右拳を差し出す前田。
左拳を合わせるシブヤ。
妬けるか?学ラン、ダンス。

去り際に、マジ女の仲間一人一人と挨拶する前田。

前田「迷惑かけたな。」
おたべ「マジ女…転校して良かったわ。」

学ラン「敦子。」
抱き締める学ラン。

見つめるシブヤ。

ゲキカラ「怒ってる?」
前田「(にっこり微笑み)来年は卒業しろよ。」
頷くゲキカラ。

まゆげ&カムバック。

二人で掌を重ね、前田と笑顔でハイタッチ握手する歌舞伎シスターズ。

まりやぎ&3色。

尺「尺、取って良いぜ。」
微笑む前田。

チハル&サナエ。

ダルマ「(満面の笑顔で)敦姉ぇぇ、勝利のぉ、手羽先ぃですわぁ~。」
笑顔のダンス。
前田「(笑顔で)皆で食べてくれ。」

ゲキカラ、ブラック、サド、トリゴヤ、チョウコク。
サド「優子さんが指名しただけの事はあるな。」
本来、そこに並んでいたであろうシブヤ。
前田を讃え微笑むサド。
微笑み返す前田。

チームアンダー、チームホルモン、チームフォンデュ等、後輩達に、
前田「あとは頼んだぞ。」
頷く一同。

センター「前田ぁ。まだ私とのタイマンは、終わっちゃいねえぞ。」
ネズミ「こ~んな去り方、カッコ良過ぎて、苦手っすぅ。」
前田「(笑って)テッペンはお前達だ。」

そして、大島姉妹に、
前田「優子さんのお墓に、報告しといて貰えますかぁ?」
優香「前田は答えを見つけたって、伝えておくよ。」
サドと旧四天王達は、シブヤを囲み、目で優しく合図した。
シブヤは、マジ女の先輩として、元四天王のひとりとして、その名を叫び見送った。
シブヤ「前田ぁぁぁ!」
頷く前田。
頷くシブヤ。
夕陽に照らされた戦場を背に、前田は警部補達の待つ屋外へ向かった。

シブヤ「あたしが悪い様にはしない。矢場久根の下に付かねぇか?」
学ラン「断る。喧嘩に負けた事あっても、白旗揚げた事はねぇんだよ!」
先代総長「お前らの頼みの綱・前田来ねえぞ。ほら、見てみろ。警察の皆さんが待ち構えてる。ヤバくね?矢場久根だけに。」

ムクチ「あれさっき私言った。」
バンジー「無口で居ろよ。」

おたべ「生憎やなぁ。前田は救世主でも何でもない。そんな重い十字架、背負わせる訳にはいかへんのや。」
センター「前田の代わりに私が居るんだぁ。能書きは良い…早いとこ決着つけようぜ。」
シブヤ「若けぇの、お前にはまだ前田の後釜は10年早ええよ。」
ネズミ「如何なる時も…私が居る方に…勝利の女神が…微笑む。」

ヲタ「こういう展開も嫌いじゃないぜ。このまま口喧嘩で決着着けるってのも…。」
ウナギ「そんな訳ねぇだろ?この展開で。」
アキチャ「確かにぃ…このまま時間切れで終わるのが、うち等には有難てぇ事だ。」
バンジー「それじゃぁ、うち等がヘタレなのがモロバレだろ?」
ムクチ「話はそれだけかっ?!」
先代総長「はぁ?」
威勢の良いムクチの言葉とは裏腹に、正直マジ女軍は再び徐々に圧されていた。
シブヤ「周りを良く見てみろ。これで勝てるか?」
優香「シブヤ!忘れたか?…それがマジ女なんだよ。」
サド「うち等バカだからな。マジに生きる事ぐらいしか出来ねぇんだよ。」
二人のマジに、返す言葉を失うシブヤ。
ダンス「なんかぁ…羨ましいっすね。」
シブヤの裏拳がダンスに飛ぶ…が、寸止めで、拳は力なく下ろされた。

ウナギ、おたべ、ヲタ、ネズミ、センター。
先代ミギウデ(安藤なつ)を掌底一閃でKOした、大歌舞伎・残心の微笑。

同じ校章の下に集ったダチの為、立ち塞がる"壁"に白旗を揚げない真っ直ぐで潔い生き様…。
そのヤンキーソウルを確かに受け継いだ後輩達が、シブヤにはやけに眩しく輝いて見えた。

自分は、"口汚い上司の居る職場"という壁とマジで向き合いもせず、イキって辞表を叩き付けてはみたが…
単に仕事の出来ない未熟者が、社会人として越えねばならない試練から逃げ出しただけじゃなかったか?

デスクに飛び乗り、「見えたっ♪」と、トリゴヤ。

風俗の世界でテッペンを取る…それがトリゴヤ自身が見つけた生き方なら、彼女は社会人として余程マジに生きている。
それは、共に青春を生きたダチに恥じない生き方じゃないか?

まりやぎ、カムバック、まゆげ、3色、ダンス…。
シブヤの本心を知りつつも、決して見捨てずに、数々の格下ヤンキー校に頭を下げ、"連合全軍のリーダー"と言う戦う大義名分を取り繕ってくれた連中が、シブヤと共に矢場久根をテッペンにする為、マジ女ってドデカい壁と必死で戦っている。

だが、そのリーダーであるシブヤ自身は、本当は一体誰と何の為に戦おうとしている…?

"甘口"としての卒業を、再度棒に振るかもしれないゲキカラが笑っている。
そして、懐かしい優子の分身・優香の勇姿。
そして、やっぱり強えぇサド。
各々のマジに触れ、シブヤ自身の戦う建前…自分の強さを誇示したいが為に、燻っていた過去の私怨に拘り、前田と決着をつけ、ついでに馬鹿にしたサドを見返す…は、あまりにも陳腐で、どうでも良い事に思えてしまっていた。

結局シブヤは、強引に高校生に戻る事で、自分のマジが何だったのかを探していただけ…方法こそ違うが、前田と同じ事をしていただけなのだ。

「帰るぞ。」
「これからクライマックスじゃないんすか?」
「もうエンディングだ。」
ダチであるシブヤの心情を察し、不敵な笑みを残し撤退する捨照護路高校・仲俣達。

若田「(前田は)来ませんでしたね。ラーメン、驕って貰いますよ。」
だが、何かを察し動き出す警部補。

喧騒の中を、ゆっくりと刻まれたローファーの靴音が響く。
学ランが、ゲキカラが、尺が、ネズミ&センターが、チョウコクが、ヲタ&ウナギが、バンジー&ムクチが、ダルマが、
そして、おたべが微笑み、彼女の名を呼んだ。
「前田…。」