#日本学術会議会員候補の任命拒否の理由を明らかにして下さい

岸田首相は2021年自民党総裁選で「今の日本は民主主義の危機だ」と言っていましたが…その危機を打開する為には、「日本学術会議任命拒否問題の解決」が必要不可欠である、と私は考えます。

「学術会議不要」論等、その「あり方」を論ずる方へ…「あり方」を論ずる前に、先ず「任命拒否問題」を片付けてからにすべきではないでしょうか。

「任命するか否かは内閣の専権事項」と論ずる方へ…これは「内閣の専権事項」の一言で済ませる事が出来る様な単純な問題ではない、と私は考えます。

菅前政権は、推薦された105人の方々の中から6人だけ任命を拒みましたが、その理由を説明すべきです。拒んだ理由が説明出来ずに、ただ「適切に対応した」の一言で済ませるのは良くないです。

もし、日本学術会議任命拒否問題の事を忘れかけている方がおられる様でしたら、これを機に、どの様な問題であったのか、もう一度思い起こして頂ければ幸いです。

•首相は学術会議側の推薦に基づいて会員を任命する事になっている。これは憲法第6条の「天皇は国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命する」に倣ったもので、任命が形式的なものである事は明らかだ。

•菅首相はなぜ6人を任命しなかったのか。なぜ、理由を述べる事をかたくなに拒否するのか。任命しないのは日本学術会議法に違反するし、理由を述べないのは民主主義に反する。国の最高権力者が「意に沿わないものは理由無く切る」と言い出したら、国中にその空気が広がる。あちこちで同じ事が起き、民主的に人を選ぶことができなくなり、権威に忖度する傾向が強まる。それは着実に全体主義国家への階段を上っていく事になる

•日本学術会議は、全国87万人の研究者を代表する日本国籍を持つ210人の会員と2千人近い連携会員からなる。公務員だが給与は無く、会議に出席する際に日当と交通費が支払われるだけのボランティアだ。しかも財政難で昨年(2019年)度の下半期にはそれさえも支給できない事態になった。
 
(2020/10/22 朝日新聞より)
 
日本学術会議法7条2項「学術会議の推薦に基づいて、首相が任命」。法令では「〇〇に基づいて」という言葉は、〇〇にかなり強く縛られるという意味で使われる。今回の任命拒否は、拒否の理由すら説明しておらず、十分に検討したのかも疑わしい
 
(2020/11/1 朝日新聞より)
 
憲法15条1項…公務員を選定し、及びこれを罷免する事は、国民固有の権利である
菅義偉首相は、任命拒否を正当化する根拠として憲法15条1項「公務員の選定罷免権」を持ち出して、「公務員の選定は国民固有の権利であり、任命権者は首相だ。推薦通りに任命しなければならないわけではない」と言う。
憲法15条によって、どんな場合に任命拒否できるのか。唯一の政府答弁が、1969年7月の高辻正巳 法制局長官の答弁で、そこでは「明らかに、法の目的に照らして不適当と認められる場合に限る」としている。それに照らせば「反社会的人物だった」等、国民の誰もが納得する「明らかに不適当と認められる」理由が示されなければならない。しかし、いまだに菅首相から「なぜ6人の任命を拒否したのか」と言う問いの答えは無い。
田村智子 日本共産党政策委員長は2020/10/8 参院内閣委員会で「憲法15条を持ち出せば持ち出すほど、日本学術会議と会員候補6人を侮辱する事になる。やめるべきだ」と厳しく批判。
憲法15条1項は、公務員の選定や罷免は「主権者たる国民の意思に基づくよう、手続きが定められなければならない」(芦部信喜「憲法」)という趣旨である
 
(2020/10/18 赤旗日曜版より)

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