トヨタの過去最高益
5月8日、昨年度の連結決算を発表したトヨタ自動車。売上高は45兆円を超え、営業利益も5兆3500億円に達するなど、いずれも過去最高を更新したのです。 好調な実績の背景には、ハイブリッド車など新車の販売増に加え、円安によって、営業利益が押し上げられたことがあります。
会長の役員報酬は前年度に対し約40%以上の増加
歴史的な円安のダメージ
最大10連休といわれた今年のゴールデンウィーク最終日、帰国した人々が口をそろえてぼやいたのも、やはり円安。 (ロンドンなど10日間旅行)「ロンドンはすごく高かった。(フィッシュ&チップスが)飲み物なしでポテトとフライで1人4000円くらい」 円安に打撃を受けたのは旅行者だけではありません。
外国人労働者からも悲鳴か
2年前から、家事代行の仕事をするフィリピン人のヘイゼルさん。月収はおよそ20万円、そこから毎月5万円以上をフィリピンの家族に仕送りしています。
ところがこの円安で送金額が大きく目減りしたのです。
ヘイゼルさん「円も今年、全然安くなったから5万円では全然足りない」 この会社の家事代行スタッフは現在およそ120人で、全員がフィリピン人。円安の影響で退社する人も出てきているといいます。
ピナイ・インターナショナル 茂木哲也代表取締役
「円安が進んでいる中で、単純に仕送りできる額が、同じ働きをしても減ってしまう。もっと貨幣価値の高い所、例えばカナダとかオーストラリアに転職するということで辞めて行かれる方も、ちらほら出てきている」
国力の低下
そもそも、円が安いということは、日本の国力の弱さを示している、との見方もあります。実際、今月の企業の決算会見でも、経営者からは…
丸紅・柿木真澄社長
「為替というのは国力を体現しているものでもありますし、やっぱりこれだけ円安が進むということは、日本の体力が落ちてきている」
三菱商事・中西勝也社長
「円は国力を表すので、円安が進むと国力が弱くなる側面もある」 かつて世界第2位の経済大国と謳われた日本。ところがバブル崩壊後、失われた20年、30年という歳月を経て、日本経済の地盤沈下が顕著となります。