「フリー」
久々に文章を書いてネットに上げようという気になった。

少しは体と気持ちに余裕ができたのかもしれないが、それよりも“その気”にさせる本と久々に出会えたことが大きい。
クリス・アンダーソン著 「フリー」~ <無料>からお金を生みだす新戦略~ がそれだ。
フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略/クリス・アンダーソン
¥1,890
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本屋さんでも平積みで並んでいるから知っている人も多いだろうし、内容から見てもベストセラーになるのは間違いないだろうから、敢えて書評のようなものは書く必要はないだろうが、実に様々なことをインスパイアーしてくれる本であって、私をして何かを語りたくさせる著作である。
著者のクリス・アンダーソンは、かの有名な「ロングテール」という言葉を世に知らしめ、同名の著作でも有名になった人だ。その人の新しい著作が「フリー」<無料>という刺激的なテーマであれば注目されるのは当然だろう。
そんな著者の作品となればWebにおけるテクノロジー・トレンドやマーケティングの手法を解説しているのかというと、然にあらず。「無料」は、ここではある意味キーワードでしかなく、それに関わる様々な事項に独特の視点で経済学や社会学的な知見を示してくれている。さらには、それらの歴史的な背景すら加えてくれていることが内容に深みを増してくれていて、読み物として満足度が高い。

印象的だった一節を抜き出してみたい。
1984年にスティーヴン・レヴィが「ハッカーズ」という著作の中で「ハッカー倫理」七ヶ条を紹介しているが、その第3条については聞いたことがある人も多いだろう。曰く、「すべての情報はフリーになるべきだ。」これに対し後にスチュアート・ブラントという人(この人がどんな人かは本書を読んでください)が言葉を加えている;
「一方で、情報は高価になりたがる。なぜなら貴重だからだ。正しいところに正しい情報があれば、私たちの人生さえ変わりうるのだ。他方で、情報はフリーになりたがる。なぜなら情報を引き出すコストは下がりつづけているからだ。今はこの流れがせめぎ合っているのだ。」
これにアンダーソンが言い換えを試みている;
「コモディティ化した情報(誰もが同じものを得られる)は無料になりたがる。カスタマイズされた情報(その人だけに与えられる特別なもの)は高価になりたがる。」さらに、「潤沢な情報は無料になりたがる。希少な情報は高価になりたがる。」

この部分だけ引用しても何も伝わらないだろう。読んでもらうしかないが、ともかく、深い~い、のである、「フリー」の世界は。