池谷祐二「単純な脳、複雑な『私』」を読んだ。3分の2くらいまでだが。

最近話題の本で、あの内田樹先生も彼のブログでも取り上げている。もちろん絶賛。

元々は池谷氏が彼の母校で高校生向けに行った講演、講義の内容から収録して編集していることもあって、非常に解りやすく取っつきやすい。最近の脳科学の実験結果などを多く説明しながら、かなり深い内容の話が進む。改めて「脳」の凄さと人間の不思議を感じないわけにはいかない。

不思議な実験の一部はWeb上で公開されていて、体験でいるので、本を読まなくてもそれだけでも楽しめるので、お奨めだ。http://www.asahipress.com/brain/ 

特に驚いたのは、「ピンク色の斑点が消える」と題された実験。http://www.asahipress.com/brain/pink.html 

時計の文字盤の数字の位置のように円周上に12個のピンク色の斑点が並べてある。画面上の斑点が時計回りの順番に一つずつ消えてぐるぐる回る。それだけなのに、消えた斑点の部分が緑色の斑点に見え、さらにはピンク色の斑点が薄くなって、ついには消える。信じられない現象が起きる。

誰にでも起きる。

まだ3分の1ほど読み終えていないにも関わらず、ここで取り上げてしまうのは、ここで読むのを止めてしまうつもりだからではない。(ただ、「1Q84」が届いたので、いつ終わるかはちょっと不明)

ただ、私はここまで読んで本のタイトルに少し違和感を感じた。

文中で語られている脳は、実に複雑で不思議な挙動をとることが実験などで解明されていのだ。私たちの極めて単純な行動一つをとっても、例えば手を伸ばして何かをつかむとかいった単純な行動でも、脳は実に複雑で、かつ意外な働きをする。

だから、むしろタイトルは「単純な私、複雑な脳」のような気がしてしまう。

しかし、その不可思議な働きをする脳も突き詰めていくとニューロンという極めて単純な神経細胞組織で構成されている。その点では脳は単純であると間違いなく言える。

今後読み進めるうちに、このタイトルの意味するところが明らかになるのかもしれない。タイトルの“複雑な「私」”の「私」ところにわざわざカギ括弧がついているところが、ミソなのかもしれない。

その期待感を持ちつつ、あえて本の途中でこのエントリを書いてみようと思ったのである。