貴重なもの 日本国のパスポートです。僕達日本人はただのパスポートだと

思っているけど、外国人にとっては喉から手が出るくらい欲しいものなのです。

これがあれば、北朝鮮以外はほとんど入れます。


天下のアメリカのパスポートでさえ、通用しない国でもこのパスポートなら通用してしまうという、

価値あるものです。

日本には宗教などで他国と問題になるようなことがないので、難しいアラブ

諸国などでもこの効果は絶大なものがあります。



昔ロンドンで出会ったモロッコ人は、独身のロンドンの女性を妻として暮らしていました。

てっきり普通に恋愛して結婚したと思っていたので、彼の口からあんな事を言われるとは

思っていませんでした。


「あんなババアと結婚したのはパスポートのためさ。たまに調査されることもあるから、

一緒に生活していなきゃいけないけど、パスポートさえ手に入ればすぐ捨てるよ。

俺は世界各国に女がいるんだ。そうそうヒデキ、今度日本の女を紹介してくれよ!」


嫌悪感でヘドが出そうだった。


最後のせりふは俺達日本人全てを侮辱していることにお前は気づかないのか?




しかし、僕はものすごく怒りがこみ上げてきたが、彼の生まれ育った環境もまた

大変なところなのである。


厳格なイスラム家庭に育った彼は必死の思いで、国を捨て、全てを捨ててきた。

そしてたとえ非難されようとも必死に生きてきたことには違いないのである。


僕はこのような境遇にいたことはない。だから国を捨てるという気持ちはわからない。


でも女性の想いを利用して裏切るのも許せない。



僕は何がなんだかわからなかった。ただ目を閉じていた。