
朝鮮王室の衣服を作る部署、尚衣院(サンイウォン)の職人ドルソク(ハン・ソッキュ)は、これまでの功績により半年後に高い身分を与えられることが決まっていた。ある日、王(ユ・ヨンソク)の衣服を台なしにしてしまった王妃(パク・シネ)は、天才仕立師のゴンジン(コ・ス)に王宮入りを要請。美しく着飾った王妃に、王は魅了されると同時に嫉妬を覚える。一方、ゴンジンの活躍に焦るドルソクは、ゴンジンを陥れる計画を立て……。(シネマトゥデイ)
王宮を舞台にした韓国映画は好きだ。好きだというか、単純に面白い作品が多い。
この作品はそんな王宮を舞台に、王や王妃の衣装に特化しているというのが面白い。
今まで失われていた王妃の衣が戻り・・・というフリで、その肝心のスゴイであろう衣装の姿は最後まで引っ張る。
なるほど、そういう構成ね。
ひょっとしたらフランスやヨーロッパの宮廷貴族を舞台にしたものならあったかもしれないが、アジアで王宮の衣装に焦点を当てた闘争劇というのは観たことがない。その点でとにかく新鮮味があった。
それがタイトルにもなっている“尚衣院(サンイウォン)”だ。
映画の中では“尚衣院”という名称よりも、そこの長であるドルソクの官職“御針匠(オチムジャン)”の方が頻繁に耳にするし、印象深い。
この作品は、現代風に言うと王宮を舞台にしたデザイナー対決だ。3代の王に仕えた“御針匠”ドルソクは、確かな裁縫技術を持ち伝統と規律を重んじる。
そこに突如現れたのが、巷で斬新なデザインが評判となっている天才仕立人・ゴンジンだ。
伝統VS革新の新旧天才デザイナー対決みたいなもんだ。
男が裁縫など…、下人の仕事…、などという時代背景もあり、むしろ逆に同じ男の裁縫師として共感を覚え合う。
この先輩後輩、戦友のような奇妙な友情にも似た関係はとても微笑ましく、このまま長く続いてくれればと思わずにはいられない。そんな関係にしてしまうのもゴンジンの人懐っこい人柄のせいだろう。
型破りな服のデザインと同じく、王宮であっても周りがビビるような型破りっぷりで、人の心に入り込んで行く。
それはドルソクもだし、心閉ざしていた王妃にもだ。
韓国の王宮映画と言えば、王妃との許されざる恋も付き物なんだけど、今回もそんな展開か!?と予期してしまう。
が、そこまでは行かないんだなぁ~~。このプラトニックというか、ゴンジンの献身的な王妃への片思いが美しく切ないんだ。
最後まで王妃の心がどっちに向いているのかはっきりしないのも切ないよなぁ~~!
韓国俳優らしくないイケメンって感じで、笑顔がいいねぇ。
「マルティニークからの祈り」に出てた?
王妃を演じるパク・シネも純粋であどけなさが残るかわいさだ。こちらも韓国美女っぽくない感じがいいね。こっちは「7番房の奇跡」に出てたってか!?
ドルソク、ゴンジンの友情がいつまでもと願うが、そうはいかない。結局、ドルソクの嫉妬、野心、自尊心などが勝ってしまったのが残念だ。
そして行き着くのは、多くの利害や野心が絡み合った清からの使者を迎える宴の席でのデザイン対決だ。
ちょっとこの辺の展開はテンポが速すぎな感もあったが、やっぱあの王妃の、ゴンジンの世紀のドレスの美しさには圧巻で、涙がこぼれてきた。
結末は悲しすぎる…、もうちょい王がまともだったらな…。
そこに重きを置いたせいか、ドラマとしての感動はもうひと伸びって感じだ。