「僕の英語はビートルズで学び、精神分析で鍛えられたようなもの」

自分の生い立ちから見た夢の話まで語ることは、人生を不十分ながら見つめ直すよい機会になった


モーズレイ病院では無意識を重要視する精神分析と、実証性に基づいた行動療法的な立場の医師が烈しく対立していた


「精神分析なんて星占いと同じ」。辛辣な言葉が症例検討の場で飛び交い、自身の発表も容赦ない批判を浴びた。だが、この論争の中に、学問の本質と自分が進むべき方向を見つけた


音楽で成功した「私」と医者を目指す「私」-ずっと探してきた、振れ幅の大きな自分を収めてくれそうな器がフロイトの精神分析かもしれないと気づいた


「芸術と科学は相容れない。だが心を支える柱として、人間は両者の折り合いをつけ続けなければならない。どちらかではなく、どちらも。自分は両方を引き受けて生きていくしかない、と確信した」

(朝日新聞・逆風満帆より)