大久保陸軍少将は柴崎芳太郎に、「ここがアルプスだ。4000m級の山岳がずらりと並んでいるが、これらのほとんどは登山家によって初登頂がなされている
マッターホルンというスイスの山は、昔から悪魔が住む山と云われて誰も近づかなかった
その山に初めて登ったのは、ウィンバーという英国山岳会の7人である
7人登って帰途4人が死んだ。1865年のことだ」、と演説口調で云った
「さて、ウィンバーが所属した英国の貴族階級を中心として発達した山登りの会である。宗教の為の登山ではない
山岳の水晶を求めに行く登山でもない。ただ山に登ることを楽しむ者だけが集まった、云わば山遊びの会である
隙があって、金がある者のみがこの会に入っている
山岳会は英国だけではなく、ドイツにもあるし、フランスにもある
そして、日本にも去年それができたのである
わが陸地測量部は地図を作ることを本分としている
そして測量局以来ほぼ30年間にわたり測量を続けている
そしてほぼ日本の地図は作り上げた・・・と云いたいところだが、まだ若干残っている」
ここだと大久保少将は中部山岳一帯を指して円を描いた
(剱岳点の記より)








