剱沢雪渓の終点あたりです

今頃は雪に覆われているのでしょう

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長次郎、生田、金作、鶴次郎の順位で登って行った

草鞋の底にT字型の金かんじきを付けて

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大雪渓は巨石(現在は熊石と呼んでいる)に行き当たったところで二つに分かれる。長次郎はためらうこともなく、左側の雪渓に入って行った(現在の左俣のことか)

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四人は目の上に稜線を見た。それほど苦心することなく、稜線の鞍部に到達しようとしている彼らの前に思いもかけぬ難所が待っていた

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剱岳山頂から発して北に伸びる尾根は、そこで鋭い角度を持った鞍部に落ち込んでいた。大雪渓の登りはその鞍部の底で終わっていた
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稜線の鞍部を踏み、揃って左向きをして、目の前にそそり立つ高さ60メートルほどの岩壁を見上げた。それが陰になって剱岳の頂上は見えなかった。岩壁の雪はほとんど落ちていた

別山沢

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長次郎は何も云わず、しばらくその岩壁と睨めっこをしていた。そして背負い袋を雪の上におろすと、金かんじきをはずし、草鞋を脱いで裸足になると、脱いだものをすべて背負い袋に入れて背負った
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長次郎の手はすいすいと伸びた。足も良く動いて、ちょっとした岩の出っ張りや窪みにぴったりと吸い付いた

何のためらいもなく岩壁を攀じ登って行った

3人も続いた

<動物の糞ですね。オコジョかリスか?>

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長次郎が青空の中に消え、続いて生田が消え、金作がその中に吸い込まれた。そして鶴次郎が最後に頂上を踏んだ
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頂上は意外に広々とした岩石の丘だった。大小無数の岩石が重なり合いながら、絶頂に向って緩い傾斜を造っていた
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荒れた呼吸が落ち着くと、黙って絶頂を指し示した

順番はなく、ほとんどが同時に絶頂の岩石の上に立った。そこは日本中の山が一望のもとに見えるほど高いところに思われた。遮るものは何一つとしてなかった

どの方向も素晴らしい景観にあふれ、区々としては目を牽くものはなく、弾き返すような勢いで全体として迫っていた。何か、壮大な景観に圧倒されて眩暈がしそうに思われた

誰も何も言わなかった。四人は言葉を忘れたように風に吹かれていた

12時になるところであった

(新田次郎・剱岳点の記より)

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