比較文明学者の梅棹忠夫さん(89歳)が、登山と探検に明け暮れた半生を振り返った「山を楽しむ」(山と渓谷社)が刊行された。卒寿を控えた現在も、顧問を務める大阪国立民族博物館に毎週顔を出している。山と探検の話になると鋭気を帯び口は滑らかになる。「私は終生、登山家のつもり。心は常に山と共にある」。山に魅せられたのは京都一中、旧制三高時代。京都大学理学部動物学教室に進むとミクロネシアやアフガニスタン奥地など探索している。「自分の足で歩き、見て、観察して、考え、記述する。学問研究とは全人格的なもので、体力を伴う。学問は足でするもんや」。66歳の時、ウイルス性視神経性炎で視力を失ったが、それでも「現実を受け入れ、口述で学問を続けてこられたのは、山に鍛えられたから」と語る。
デジデリアム・インコグニチ(ラテン語で未知への渇望)は人間の本能と力を込める。
(読売)