★30年前の遺言書、発見⁈ 慌てる必要なし、相続人全員で分け方を決め直すだけ! | ジャーナリスト 石川秀樹

ジャーナリスト 石川秀樹

ちょっと辛口、時どきホロリ……。理性と感情満載、世の常識をうのみにせず、これはと思えばズバッと持論で直球勝負。
3本のブログとFacebook、ツイッターを駆使して情報発信するジャーナリスト。
相続に強い行政書士、「ミーツ出版」社長としても活動中。

<★古い遺言書発見! すわ、争族⁈ 相続人全員一致なら”異なる相続”も可能だ>

http://yuigonsouzoku.net/old-testament/

 

 

遺品を整理していたら、故人の遺言書が出てきた。

封筒はだいぶ古びた感じ。

遺産は分け終えたのに、えっ、これって有効⁈

怖くなってとにかく家庭裁判所に持って行って検認の手続。

開封したら、日付は30年前!!

 

 

ごくたまに相続では、こういったことも起こります。

やっかいなことに、①全文自筆、②日付があり、③署名もされて、④印鑑も打ってある──。

これらの要式が整っていれば遺言書は有効です。

遺言書に「有効期限」というものはありませんから、超古い遺言書でも有効になります。

 

 

30年前に書かれていれば、当然、今と状況が違います。

登場人物や財産の中身も違ってくる。

有利になる人も不利になる人もいそう。

有利になる人は分け直しを主張し、不利になる人は断固反対。

かくして”争族”勃発・・・・・

 

 

まあ、そうなるでしょうね。

人間は欲の塊ですから、いざとなれば。

この解決法? 

相続人が欲に駆られていれば、ありっこありません。

遺言書を盾にする者と、現状を死守しようとする者と。

 

 

欲、つまり「私の事情」が先にあって戦うと引く気にはなれません。だから泥沼にはまってしまう。

でも、忘れてしまっては困ります。

誰の財産ですか?

亡くなった方が築いたものでしょう?

ならば故人の意思が最優先です!

 

 

と書けば「30年前の遺言の通りにしろと?」と言っているように取られそうですが、そうではありません。

むしろ、遺言書の細部にこだわるな、です。

誰にいくら、誰々にはこの財産、と書いてあっても30年前の話ですからね。

読み取るべきは「本人がどうしたかったか」だけです。

 

 

誰もが遺言書の字面の数字にしか興味がありません。

その数字を見て、有利・不利をくみとる。

そして、その遺言通りにすべき・いや現実は違う、と争う。

どちらも「自分の事情」から主張するから妥協点がなくなります。

 

 

考えても見て下さい、30年前の遺言書ですよ。

その通りにしたら混乱するし、したいと思ってもできないことも多いでしょう。

だから「それはそれ」という感覚がとても大事なんです。

 

 

古い古い遺言書からくみ取るべきは『おやじはどうしたかったんだろう、何を望んでいたのだろう』だけです。

後はそれを踏まえて、もう一度、遺産分割協議を始めるだけ。

 

 

分割協議で全員一致で決めれば、その決定は遺言書に優越します。

仲良く決着すれば突然出てきた遺言書を、笑い話、いや思い出のよすがにして父のエピソードを語り合うきっかけ程度にすることができます。

 

 

自分の欲で遺言書を見たら、10年話し合ったところで決着しません。元々、父が遺した父の財産です。

自分の欲だけを全開なんて、みっともない真似はやめましょう。