★昔の名前でちょっと一泡? 都知事選、細川さんが出馬騒ぎに複雑な思い | ジャーナリスト 石川秀樹

ジャーナリスト 石川秀樹

ちょっと辛口、時どきホロリ……。理性と感情満載、世の常識をうのみにせず、これはと思えばズバッと持論で直球勝負。
3本のブログとFacebook、ツイッターを駆使して情報発信するジャーナリスト。
相続に強い行政書士、「ミーツ出版」社長としても活動中。



このところ細川護熙元首相(75)が都知事選に出馬する、
というのでメディアがかまびすしい。
小泉純一郎元首相(72)との連携もささやかれ、一定の期待感があるようだ。


♪昔の名前で出てます~、
と言ったら不謹慎に聞こえるが
『今さらなんだろう』という気はする。
陶芸家を気取って、世間のことはみんな忘れたんじゃあなかったのか。
このご仁もまだ生焼けだったのだろうか。



小泉さんはもっとわからない。
2004年の郵政解散、以後の遊説の見事さ、といったらなかった。
JR浜松駅頭で聴いた啖呵には胸がすいた。
しかしまあ、この政権が残したものは、
結局は、格差社会の助長だったのだけれどね。


細川さんが歓呼冷めやらぬ中で首相を辞めざるを得なかったのは、
東京佐川急便事件という些末な金銭のやり取りではなかったか。
政権を放り投げて以後、まじめな説明はついぞなかった。
それから後、非自民連立政権はガタガタ……。
反省の弁も聞こえては来なかった。


国民が喝采した非自民連立政権が細川さんの投げ出しで崩壊した後、
短期の羽田孜さんを挟んで登場したのが奇怪なキメラ政権、
自民・社会・さきがけによる村山富市政権だった。
記憶に残すべきは、政権を担った社会党は真っ逆さまに転げ落ちた、ということ。


野合だものね。
国民はバカではない、筋を曲げた一団を許さなかった。
担ぎ出した自民、さきがけはしょせん計算づくだ。
甘いエサに乗った社会党は焼きが回っていた。
結果、焼け太ったのは自民のみ。
影に知恵者がいたのだろうな。


さて今回の知恵者は誰だろう。
原発反対派は「『負けてもいい』のだったら(そんな根性で出馬するなら)
宇都宮健児さんの邪魔をするな」と怒っている。
反原発票の分断は確実、無理もない主張だ。


確かに細川さんの出馬は、自民舛添要一さんに塩を送る結果になりかねない。
しかしでは宇都宮さんなら勝てるのか。
2012年の都知事選、猪瀬氏430万、宇都宮市96万票。
これが現実である。


今回、舛添、細川、宇都宮の各氏に、
そうそう自衛隊元航空幕僚長、田母神俊雄なんて人もいた。
みんな一癖も二クセもありそうな風貌だ。
こんな中では細川さんのほんわか殿様ぶりは案外受ける?


舛添氏も自民内が一枚岩ではないようだ。
となれば誰にでもチャンス? 
個人的には脱原発論者に勝ってほしい。
他の争点を押しのけても「脱原発」は心ある国家なら取らなければならない道だから。


オリンピックの舞台となる東京が、地方の原発に支えられて繁栄する
搾取と格差と不公平の資本主義、
その牙城都市では「平和の祭典」を開く資格がない。
東京の首長選とはいえ「原発」が争点だ!


細川氏はお飾りではダメだ。
熱く主張を語れ(信念があるなら)。
毒か薬かわからないが“集客力”のある小泉氏を引っ張りこめ。
その力がないなら宇都宮市の応援に回れ。
自民側を喜ばせるだけでは情けない。


混戦選挙はマーケティング力が勝敗を分ける。
候補はいずれも小粒、動員力もさほどない。
最後は「言葉の力」をもつ者が勝つはずだ。
都民の心にクサビを打ち込める候補者は誰か。
強力に推薦できないのが悔しい。


■   □
以上、我ながら力のない論評だ。
おすすめ候補がいない。
情けない。
大東京に人財はいないのか。
ただの作家の猪瀬直樹氏に「ギネスに載せようか」という大量得票をさせた街だからね、候補払底(ふってい)も今さらの感だね……。


(写真は西日本新聞より)